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20060120 キジムナー問題

 あるサイトのページを読んでいたら「キジムナー問題」というのを取り上げていた。「キジムナー$${^{*1}}$$」とは沖縄に伝わるガジュマルなどの木に棲む妖怪の名前である。キジムン$${^{*2}}$$とも呼ばれるらしい。妖怪データベース$${^{*3}}$$にも登録$${^{*4}}$$されている。

 このキジムナーの名前をある年齢層は「キムジナー」と憶えているらしい。私も「キムジナー」と思っていた。

 これは水木大先生$${^{*5}}$$の妖怪本に「キムジナー」と書かれていたから、というのだ。確かに私がキジムナーを知ったのは水木大先生の妖怪本である。そこにはキジムナーではなく「キムジナー」と書いてあったようだ。手許にある「水木しげる妖怪画集$${^{*6}}$$(昭和45年1月27日 初版発行 朝日ソノラマ)」を見てみると「キムジナー$${^{*7}}$$」になっている。目次も「キムジナー$${^{*8}}$$」である。単なる誤植ではなく完全な勘違いをしていたようだ。因みに妖怪データベースには「キムジナー」は出てこない。

 この問題は「加牟波理入道」にも似ている。「かんばり」なのか「がんばり」なのか$${^{*9}}$$。やはり「かんばり」派と「がんばり」派とがいる。この妖怪を掲載している文献でも呼び方は様々である。キジムナーと違うところは民間伝承ではなく鳥山石燕の創作によるものという点だ。原本を辿ればどちらが正しいかはっきりするはずだが、原本でも「かんばり」「がんばり」の両方が使われている。妖怪データベースでは「がんばり入道$${^{*10}}$$」は登録されているが、「かんばり入道」はない。

*1 キジムナー
*2 木の精
*3 怪異・妖怪伝承データベース
*4 キジムナー
*5 19990831 ナプーン
*6 20030131 水木自慢
*7 kimujina1.jpg
*8 kimujina2.jpg
*9 20030720 加牟波理入道(2)
*10 がんばり入道

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