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20000503 河童の正体

 河童$${^{*1}}$$の正体は亀である、という説がある。飼っている亀$${^{*2}}$$が何とかして逃げ出そうとして前足や後ろ足を一杯に伸ばして水槽にへばりついている姿を見ていると確かに子供の仕草を見ているような気がしてくる。
 しかしいくらなんでもイシガメ$${^{*3}}$$やクサガメ$${^{*4}}$$では小さすぎる。これらは大きくなっても30cm程度である。子供ぐらいの大きさに見間違える大きさではない。それに川の岸辺の草むらにいる亀は距離が離れているので実際よりも小さく見える。亀河童説は成り立たないのか。

 亀の図鑑を見ていたらコガシラスッポンChitra indica$${^{*5}}$$という巨大なスッポンがいることを知った。このスッポンは体長が180cmになるものもいるらしい。もしかしたらこのスッポンが河童の正体かもしれないと、ふと考えた。この大きさならば子供ぐらいの大きさの河童に見間違えることも出来る。
 ただしこのコガシラスッポンの棲息地域はパキスタン、インド、ミャンマー、タイ、ネパールなどである。これが日本にいたというのはいささか$${^{*6}}$$無理があるかも知れないが、新大陸の亀ではなくアジアの亀なので、もしかしたらと思いたくなる。このコガシラスッポンの「コガシラ」とは小頭のことで体の割には頭が小さいのでこの和名が付いたらしい。

 そして、つい最近、奈良の酒船石$${^{*7}}$$の近くで第二の亀石$${^{*8}}$$が発見された。大きさが正にコガシラスッポンである。形もよく似ているが、亀は大抵あのような形なので当然である。とはいっても造形芸術品なので形や大きさからその対象を特定するのは難しい。

 考えてみると第一の亀石$${^{*9}}$$にしろ第二の亀石にしろイシガメやクサガメのようなヌマガメ類の特徴である甲羅の六角模様がない。大抵の河童の絵でも甲羅に六角の模様がない。ますます巨大スッポンが河童だったと考えたくなる。

 しかし河童の最大特徴である頭の皿をどう説明するかである。亀で頭に毛が生えている種はいない。皆つるつる坊主である。
 草むらから頭を出していれば草が髪の毛のように見えないこともない。

 何かを創作する場合、全く無からはというのはなかなか出来ない。何か対象があるはずである。妖怪$${^{*10}}$$も同じである。何か最初にきっかけがあって様々な人がそれに創作をどんどん加えていって出来上がるのだろう。
 河童も同じ過程で出来上がった筈である。もしコガシラスッポンが河童の正体ならば、日本の巨大スッポンは絶滅してしまったことになる。そう思うと感慨深い。

*1 河童
*2 20000419 帰ってきたミドリガメ
*3 イシガメ
*4 クサガメ
*5 Chitra chitra
*6 長谷川町子「似たもの一家」姉妹社 全1巻
*7 酒船石
*8 酒船石遺跡
*9 http://www.crdc.gifu-u.ac.jp/mmdb/marc4/nara/asuka/15.jpg
*10 妖怪って何?

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