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20050618 kauphy

 高校生の頃だったと思う。英語の参考書に掲載されていた笑い話を未だに覚えている。ただし日本語で、だ。

 アメリカのある学校のフットボールチームの監督があることで悩んでいた。チームのある選手は物凄く有能だが、学業成績が甚だ芳しくない。このままだと退学になってしまう。そこで英語の教師に何とかして欲しいと頼んだ。頼まれた教師は「簡単な単語の聴き取り試験にしましょう。単語を一つ読み上げます。それを正しく書き取ってもらえれば合格にしましょう」と提案した。

 彼の実力を良く知っている監督は、それでもまだ難しい、もっと簡単にできないかと懇願した。すると教師は「よろしい。単語の中の綴り一字でも合っていれば合格にしましょう」と答えた。監督は安心した。

 ところが件の彼は落第点を取ってしまい退学になってしまった。

 怒った監督は、一体どんな難しい単語を問題にしたのだと英語教師のところに怒鳴り込んだ。教師は答えた。

出題は「coffee」だったのです。でも彼が書いた答えは「kauphy」でした。

 何故この話が面白いのか。アメリカでは、スポーツ選手に想像を絶する程の間抜けが存在する$${^{*1}}$$と思われていて、そう思われている彼らが自分達よりもはるかに稼いでいる現実をやっかんで自嘲しているのだろうか。日本にも長嶋茂雄語録$${^{*2}}$$とかガッツ伝説$${^{*3}}$$などがある。

 考えてみると「kauphy」という単語はよくできている。もしかしたらこの笑い話が成立する英語の綴りは「coffee」と「kauphy」との組み合わせしかないかもしれない。どちらも発音が同じだが綴りが一字も一致しないという組み合わせを作るのは難しい。大抵の子音は一対一で対応している。英語において発音が同じで違う子音字という組み合わせは「k」と「c」、「f」と「ph」、「s」と「c」と「z」、「g」と「j」と「dj、dg」ぐらいか。母音だと「i」と「y」と「ee」、「au」と「o」、「u」と「oo」しか思い当たらない。そうなると誰でも知っている簡単な単語はやはり「coffee」しかない。

 何もない状態から「coffee」「kauphy」の関係を見出すのはかなり難しい。しかし「coffee」という単語が初めから与えられていれば「kauphy」を導き出すのは簡単である。となるとこの笑い話は実際に起こった話ではないか、と思いたくなる。「kauphy」は極端としても「cauffy」ぐらいはやらかしたしたのではないか。これが前述の笑い話のように洗練されたのかもしれない。

 長嶋$${^{*4}}$$氏の大学時代の伝説を思い出す。彼の初めてのドイツ語の授業の時に辞書の使い方を教わった。その時、「こんな便利な物が英語にもあったらなぁ・・・」と御学友に洩らしたそうである。

*1 20031018 バカについて
*2 Google 検索: 長島茂雄語録
*3 Google 検索: ガッツ伝説
*4 長嶋 茂雄 - 野球殿堂博物館

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