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20040319 和漢三才図会

 少し前に比較的大きな本屋$${^{*1}}$$で、ある本を一所懸命立ち読みしている女子高生の後ろ姿を見かけた。制服を着ていたので高校生であることが判った。少し短めのスカートで、平日の真っ昼間の街中で授業をサボっている姿を見かけてもそれ程不思議ではない出で立ちだった。ただし、見かけた時は夕方だったので、授業をサボっている訳ではない。

 次の瞬間、彼女はその本を書棚に戻してどっかに行ってしまった。彼女が読んでいた本が気になった。その書棚には叢書や全集といった類の書籍が陳列されていたからである。そういった書棚にはあまり高校生は近づかない。

 読んでいた本は平凡社東洋文庫$${^{*2}}$$の「和漢三才図会$${^{*3}}$$」だった。もしかしたら見ていたのかも知れない。和漢三才図会$${^{*4}}$$とは江戸時代に作られた絵入りの百科事典である。高校の授業では出てこないような古典を立ち読みするとは一体どういうことなのだろう。何か他の目的で書店内をうろついていて、たまたま人がいない書棚で本を読む振りをしていただけだろうか。本当に和漢三才図会$${^{*5}}$$に興味があって立ち読みしていたのだろうか。真相は判らない。

 そのもう少し前に、別の本屋$${^{*6}}$$で、ある本を立ち読みする全く別の二人組の女子高校生を見かけた。彼女らも前出の女子高校生と同じように制服を着ていたので、高校生ということが判った。

 二人できゃっきゃいいながら声を出して本を読んでいた。その内容は彼の局部をズボンの上から如何に刺激するか、と言ったものだった。

 和漢三才図会$${^{*7}}$$と彼の局部$${^{*8}}$$。同年代ながら余りにも違いすぎる。

 考えてみれば、この年代は多感だからそれぞれが色々なことに興味を持ちだすのは当たり前である。自分や自分の仲間にもそんな時期があったはずだが、すっかり忘れていたので奇異に思えてしまった。

*1 ネットと書店を結ぶ「ブックサイト三省堂」
*2 平凡社 東洋文庫
*3 和漢三才図会
*4 本とコンピュータ・ウェブサイト 『和漢三才図会』
*5 本とコンピュータ・ウェブサイト 世界」はどう描かれたか?
*6 Welcome Village Vanguard
*7 EXHIBITION:(XIII)百科事典に見られる身体
*8 Penis Day - Hounen Matsuri

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