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20040924 誘蚊灯(3)

 更に電気だけを使って二酸化炭素を発生させて蚊を集める装置$${^{*1}}$$がある。酸化チタンの光触媒$${^{*2}}$$作用によって発生した二酸化炭素を利用して蚊を集めて駆除する。そんな都合のいい仕組みが実現できるのだろうか。

 二酸化チタンは触媒作用が強く化学的な性質が安定していて安価な物質$${^{*3}}$$らしい。これを使ってどうやって二酸化炭素を作るのだろうか。この装置で物を燃やすわけではない。二酸化チタンが塗ってある板に紫外線を照射する$${^{*4}}$$だけである。どうしてこれで二酸化炭素が発生するのか。

二酸化チタンに接触した有機物が紫外線のエネルギーによって二酸化炭素と水とに分解されてしまう$${^{*5}}$$のである。有機物が直接分解されるわけではなく、空気中の水が二酸化チタンに接触し紫外線のエネルギーで分解され、非常に反応性に富む物質に変化し、それが有機物を分解してしまう$${^{*6}}$$。水は空気中にいくらでもある。有機物は空中に浮遊している微生物で供給される。二酸化チタンに紫外線を照射すればプロパンなど燃やさなくても$${^{*7}}$$二酸化炭素が出てくるのである。太陽光には紫外線が含まれているので天日に晒しておけば、全く何もしないで二酸化炭素が出てくることになる。

 この蚊取り装置の場合、二酸化チタンの上に蚊の死骸が有機物としてふんだんに供給され、紫外線もランプによって沢山照射されるので、単に天日に晒すよりは多くの二酸化炭素が出てくるのだろう。

 蚊は二酸化炭素、温度、湿度、臭い$${^{*8}}$$を感知して人を刺しに来るという。紫外線に集まる性質もある。装置はこの内の二酸化炭素と紫外線とを利用してることになる。解説では更に強引に紫外線ランプの発熱による温度も利用$${^{*4}}$$している事になっている。

*1 酸化チタン光触媒技術蚊取り器 ブラックホール
*2 20021104 スメルキラー
*3 産業技術総合研究所 - 酸性雨をつくる街!?-光と水があればOK!-2-
*4 酸化チタン光触媒技術蚊取り器 ブラックホール ■ ここがちがう! 蚊を捕獲するメカニズム
*5 二酸化チタンの光触媒効果
*6 酸化チタンがバンドギャップエネルギーに相当するルチル型3
*7 20040923 誘蚊灯(2)
*8 NEWSゆう 蚊と人間の新たな戦い(2003/07/22)

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