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20040827 マイナスイオン(3)

 滝壺の周りは「マイナスイオン$${^{*}}$$」が多いらしい。「マイナスイオン」と言う言葉には明確な定義がないので多いも少ないもないのだが、仮に「帯電した粒子$${^{*2}}$$」という定義にすると滝壺にはマイナスイオンが沢山漂っている$${^{*3}}$$という。

 そのマイナスイオンが何故滝壺に多いかというと水砕けるところでは、水滴が自然に電気を帯びてしまうらしい。これをレナード効果と言うようだ。

 「レナード」というとこの人$${^{*4}}$$や化粧品$${^{*5}}$$のことを思い浮かべるが、それとは全く違う。綴りも違う。レナード効果の「レナード」は「Lenard」、この人$${^{*6}}$$は「Leonard」、化粧品は「Menard」だ。

 レナードは陰極線に関する研究で1905年ノーベル物理学賞を受賞した$${^{*7}}$$。陰極線とは真空中で作られる電子の流れで、陰極線が薄い金属箔を貫通するというヘルツによって見出された性質$${^{*8}}$$を応用して金属箔の窓を持った真空管から空気中に陰極線を取り出す$${^{*9}}$$のに成功した。この真空管は「Lenard tube$${^{*10}}$$」と呼ばれる。

 レナードは滝の電気的性質に関して調べたことがあった。そのことについて彼は論文を書いている。web上にはこの論文の原文が見つからないが、日本語の翻訳がこのページに掲載されている$${^{*11}}$$。読みやすくするためか翻訳ページでは論文の体裁を崩してしまっている。内容も加工してあるようなので、元の論文も併せて掲載してくれないと心許ない。件のページでは論文の題名の綴りが間違っている$${^{*12}}$$。「Uber die Electricitat der Wasservalle」となっているが、正しくはドイツ語で滝(複数形)は「Wasserfalle(正しくはWasserfälle)」である。こういうことが起こるので原文は必要だ。

 彼の実験によって何かに衝突してできた水滴は常に正電荷を持ち、その周辺の空気は負電荷を持つ$${^{*13}}$$ことが判った。ただし、空気の何が負電荷を持つかははっきりしない。少なくともほこりや小さな水滴ではないらしい。

 雷雲の電気発生の仕組みがレナード効果によるものかと思ったのだが、雷の場合は雲の上方が「プラス」になる$${^{*14}}$$ので、水滴より軽い空気がマイナスになるのでは話にならない。

*1 20040827  マイナスイオン(2)
*2 第128回『呼吸』4 page
*3 第141回『休息』 4 page
*4 Leonard Nimoy
*5 --- 日本メナード化粧品 ---
*6 Leonard_Nimoy.jpg
*7 Physics 1905
*8 3-2-1 電子の電荷と質量
*9 Lateral Science - Lenard Rays & Unfortunate Coneys
*10 Objects - Belgian Museum of Radiology
*11 レナード効果に迫る!
*12 P H I L I P P E. A. V O N L E N A R D On cathode rays Nobel Lecture, May 28, 1906
*13 レナード効果に迫る! 18. 結論
*14 20030914 雷(2)

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