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20020716 法廷

 一月ほど前にある理由から簡易裁判所$${^{*1}}$$に訴えを起こした。そして今日、訴訟の途中で和解$${^{*2}}$$が成立して、裁判は終結した。

 もともと請求する金額が少なかったので、原告である私は少額訴訟手続き$${^{*3}}$$をした。少額訴訟は30万円以下の金銭の支払いをめぐる紛争に限って利用できる手続きで、原則として1回の期日でその日の内に判決が言い渡される。何度も裁判所に通うのが面倒なのでこの制度を利用した。金額が少ない$${^{*4}}$$ので弁護士を依頼$${^{*5}}$$すると何のために訴訟をしたか解らなくなってしまう。従って私本人だけでの訴訟である。

 訴えを起こして2週間ほどしたら被告である相手方から通常訴訟への移行の希望が出されたと裁判所から通知が来た。これによって少額ではない通常訴訟に自動的に切り替わってしまった。原告はこれを拒否することが出来ない。通常訴訟になると判決が出るまで何回も裁判所に出向かなければならない可能性が出てくる。目論見が狂ってしまった。一体、相手方は何を考えているのだろうか。

 本日、第1回目の審理が行われた。通常訴訟であるが、少額訴訟用の法廷だった。少額訴訟用の法廷$${^{*6}}$$はラウンドテーブル$${^{*7}}$$と呼ばれる楕円形の机で裁判官と原告、被告が膝をつき合わせて話し合いをする。裁判官も法廷で羽織るような黒い法服$${^{*8}}$$ではなく、背広姿で審理をする。今回の裁判は裁判所の都合から、通常訴訟であるが、ラウンドテーブルで裁判が始まった。

 裁判官が双方が何について争っているのかを明確にすると直ぐに和解を勧めてきた。私は和解で本日中に結論を出すことは可能かと裁判官に聞いた。十分可能性はあると言われたので、応じた。

 和解が成立し、司法委員$${^{*9}}$$が作成した和解調書$${^{*10}}$$を裁判官が読み上げて裁判は終わるはずだった。

 ところが裁判官は、通常訴訟に移行したのでラウンドテーブルで読み上げるのはまずいと言い出した。原告、被告、司法委員、傍聴人(私の妻、0歳の娘$${^{*11}}$$、相手方の奥さん)のみんなでぞろぞろと普通の法廷へ移動した。法廷では裁判官は黒い法服を羽織っていた。映像でしか見たことがなかった法廷に初めて入ることができた。傍聴人席なら裁判は公開が原則$${^{*12}}$$なので座ろうと思えばいつでも座れるが、原告席は裁判を起こさないと座れない。いい経験をした。

 それにしても詰まらないことに拘っているなと思った。少額訴訟から通常訴訟に移行した場合はラウンドテーブルで最後まで裁判を行うという前例を作っても何ら問題はないように思える。

*1 簡易裁判所における民事手続
*2 裁判上の和解(即決和解を除く)の状況(平成12年)
*3 少額訴訟手続
*4 少額訴訟 | 裁判所
*5 【日弁連】 弁護士報酬のご説明
*6 やさしい少額訴訟
*7 ラウンドテーブル法廷
*8 裁判所ナビ(PDF:3.2MB)
*9 司法委員
*10 和解すればいいのに、意地でも和解しない人
*11 20010730 新しい家族
*12 - 法廷あれこれ -

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