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20071230 釜鳴り

 餅つき$${^{*1}}$$をした。餅をつく$${^{*2}}$$ためには、まず餅米を蒸籠(せいろ)$${^{*3}}$$で蒸さなければならない。前の日から水に浸けた餅米を蒸籠に入れる。煮えたぎった釜に蒸籠を載せて蓋をした。その直後に何かの拍子に蓋を持ち上げた。飯炊き$${^{*4}}$$と違って蒸籠蒸しの場合は随時蓋を開けても何ら問題はない。

 蓋を持ち上げると「ぶぉー」という大きな音が鳴り出した。蓋を閉めると音が止まる。少し持ち上げると又音が出てくる。釜鳴り現象$${^{*5}}$$である。今まで何度も餅つきをやってきたが、釜鳴りを聞いたのは初めてであった。この釜鳴りは豊作を占う神事$${^{*6}}$$として有名である。

 一体どうして音が鳴るのだろう。webで調べてみると原理が解説してあるページ$${^{*7}}$$が見つかった。釜の中の水蒸気が蒸籠の中の水に浸けた餅米の隙間を通過する時に一気に冷やされ体積が収縮する。それにつられて餅米の上の空気が餅米の隙間に吸い込まれる。吸い込まれた空気は勢い余って水蒸気で一杯になっている釜の中に入り込む。その勢いがなくなれば、再び釜の中の水蒸気が餅米を通過を通過しようとして、餅米の隙間にある空気を上に押し上げる。これの繰り返しによって空気の振動が生まれ、音が鳴るらしい$${^{*8}}$$。

 餅米が水蒸気によって温められると、水蒸気の収縮がなくなり、餅米を通過するだけになるので音は止まってしま$${^{*9}}$$。蓋を閉めると鳴り止むのは空気の動きが蓋で邪魔されるからだろう。

 それにしても何故、今まで何度も餅つきをやっているのにこの現象に出くわさなかったのだろう。一つは完全に沸騰した釜の上に蒸籠を載せないことが考えられる。段取りの都合上、ある程度釜の湯の温度が上昇した時点で蒸籠を載せる。だから完全に沸騰する頃には餅米の温度は上昇してしまっている。また蒸籠は二段で使う$${^{*3}}$$。下の蒸籠から蒸し上がるので、そちらの餅米を先につく。空いた蒸籠にはまた水に浸けてあった餅米を入れて残っているもう一つの蒸籠の上に重ねる$${^{*10}}$$。冷たい餅米があってもその下の水蒸気は下の蒸籠の餅米を通過して殆ど湯気になってしまっているので、急激な収縮は起きない。従って冷たい餅米があっても鳴らない。

 今回、鳴ったのは、少し段取りが狂って、ぐつぐつと煮えたぎった釜の上に冷たい餅米が入った蒸籠を載せたことが原因であった。

*1 20000102 餅つきの原理
*2 うすいちくんの「はじめてのもちつき講座」
*3 seiro.jpg
*4 20030509 アルミ鍋炊飯
*5 釜鳴り | カマナリ | 怪異・妖怪伝承データベース
*6 21世紀へ残したい香川-四国新聞社
*7 水蒸気かま鳴りの真実
*8 空き缶で水蒸気釜なり Thermoacoustic phenomenon
*9 2003釜鳴り現象の解明と応用
*10 はじめてのもちつき講座 イラスト手順

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