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20040505 めじろ、ロシヤ、野蛮国(2)

 こんな歌が昔あった。「陸軍の 乃木(のぎ)さんが 凱旋(がいせん)す すずめ めじろ ロシヤ 野蛮国 クロポトキン 金玉 丸麩(まるふ) ふんどし 締(し)めた タカジャッポ ポンヤリ 李鴻章(りこうしょう)の禿頭 饅頭喰って皮残す 擂(す)り粉木(こぎ)頭に灸据えて 帝国日本大勝利 陸軍の・・・$${^{*1}}$$」といつまでも終わらないしりとり歌である。

 ところどころ意味不明な言葉がある。「タカジャッポ」はおそらく「高シャッポ」で山高帽のことであろう。その後の「ポンヤリ」が判らない。

 検索で調べてみると択捉島の地名にそれらしき名前$${^{*2}}$$が出てくる。しかし何故この歌に択捉島の地名が突然出てくるのか。このしりとり歌は日清日露戦争時代のことを唄っている。その時代に択捉島が何かの舞台になったのだろうか。更にいくら調べても択捉島の「ポンヤリ」の位置がはっきりしない$${^{*3}}$$。

 検索結果を見ていると「ポンヤリ$${^{*4}}$$」を「ぼんやり$${^{*5}}$$」の意味で使っている人が多い。また、このしりとり歌の「ポンヤリ」は「ぼんやり」が訛った言葉だと主張している人がいた。やはり「ポンヤリ」の意味は不明のママである。しかし今のところは「ぼんやりとした李鴻章」で歌はつながっていると考えるのが妥当かも知れない。

 「ポンヤリ」を調べている内に「丸麩(まるふ)」はどうも違うということが判ってきた。「マカロフ」のようである。「金玉、マカロフ、ふんどし、・・・」と続く。丸麩よりもマカロフの方が相応しい。マカロフ$${^{*6}}$$という人はロシアの提督で日露戦争で戦死した$${^{*7}}$$のでこの歌に合っている。このマカロフ$${^{*8}}$$という名前は旧ソ連の拳銃としてトカレフ$${^{*9}}$$と並び、関係者にはよく知られた名前らしい。

 この歌で「丸麩$${^{*10}}$$」の登場はいけなくて、時代背景に全く関係ない「金玉」「ふんどし$${^{*11}}$$」「タカジャッポ」などは何故いいのか。「金玉」はそれだけで面白いし、「ふんどし一丁の山高帽をかぶった紳士$${^{*12}}$$」はその間抜けな姿を想像するだけで笑えてくる。それに対して「丸麩」では全く面白くない。

*1 20000303 めじろ、ロシヤ、野蛮国
*2 わが“故郷”、択捉へ飛ぶ | 特集記事 | NHK政治マガジン
*3 北海道大学附属図書館 北方古地図高精細画像 千島州択捉嶋概測図 / 甘利後知
*4 Google 検索: ポンヤリ
*5 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: ぼんやり
*6 Макаров makarov.jpg
*7 国語辞典 英和辞典 和英辞典 - goo 辞書: マカロフ
*8 SV-MEK - Explosionszeichnungen makarov.jpg
*9 SV-MEK - Explosionszeichnungen Tokarev.gif
*10 津島麩
*11 20010830 女のふんどし、行徳の俎
*12 近代日本における帽子の盛衰|日本における帽子の歴史|帽子100年|HatandCap

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