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20051229 日本で一番古い駅舎など(2)

 武豊の転車台$${^{*1}}$$は、数年前に復元され整備されて$${^{*2}}$$現在に至っている。

 こういった産業遺構$${^{*3}}$$は、復元されると一気に趣が半減してしまう。私としてはゆっくり朽ちていく姿を愛でるのがいいのである。保護するのは朽ちていく速度が緩むので、その様子を長く鑑賞できるという点で意味があるが、復元となると原型としての性質がかなり失われてしまうような気がする。後世の人の手が入れば、手直しをした人々の意思が入り込んでしまう。それに遺棄される前に染み込んでいた往時の人々の魂が抜け出てしまうのである。遺構鑑賞の醍醐味$${^{*4}}$$は往時を偲ぶことなので、できるだけ産業遺構の復元は避けて欲しいと常々思っている。

 復元される前はこの様な状態だった$${^{*5}}$$らしい。現在$${^{*6}}$$とは比べ物にならないぐらいの素晴らしい雰囲気を醸し出している。理想は放置であるが、どうしても文化遺産として残したいというのであれば、柵と屋根とを設けるぐらいに止めておいて欲しい。ただし考証や説明看板などは充実させる。

 こういった公共事業は、発起人や責任者などの功名心と無粋さとが相まって、遺構の持ついい雰囲気を往々にしてぶち壊してしまうのである。

*1 20051229 日本で一番古い駅舎など
*2 中部産遺研会報Vol.13
*3 遺構探訪
*4 遺構探訪 はじめに
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*6 turntable.jpg

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