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20000729 ひびきわたる

 今から十数年前に「お笑いスター誕生$${^{*1}}$$」という番組があった。売れない芸人や素人芸人が自分の芸を披露し、それをベテラン芸人やお笑い界の重鎮らが審査し、審査に勝ち残ると次週も出演できた。

 その中で印象深かった挑戦者は「ひびき わたる$${^{*2}}$$」である。彼の出し物はキセル漫談と言ってキセル$${^{*3}}$$を使って色々な音真似をしながら漫談をするのである。キセル乗車$${^{*4}}$$の経験談を面白おかしく聞かせるわけではない。

 キセル漫談自体は全く面白くなかった。それでは何故、印象に残っているか。彼は自分で考えたギャグが余りにも面白く思えたのか、ギャグを言う前に自分で笑ってしまうのである。ひびきわたるはこの番組出演時点で既に芸歴は長かった。それなのに自分のネタに酔いしれて自分が先に笑い出してしまう。お笑いの基本を理解していないのである。

 審査員の一人、桂米丸$${^{*5}}$$もこの点を指摘していた。芸歴の長い芸人がお笑いの基礎を知らなかったというのが印象深かったのである。

*1 お笑いスター誕生ホームページ
*2 ひびき わたる
*3 金工品・・・飾り煙管
*4 なぜ不正乗車を「キセル」と言うのか? 大正時代に「煙管乗り」という言葉も | 乗りものニュース
*5 桂 米丸 師匠編

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