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20030210 エロ本伝説

 小学生の頃、学友の間に伝わる噂があった。この噂は上級生から伝わって、下級生に伝えられていった。

 「名古屋港$${^{*1}}$$には無修正の外国製のエロ本が沢山廃棄されている」という噂であった。当時、海外のヌード雑誌は肝心な部分が「墨塗り」であった。それが全く施されていないというのだ。小学生の夢は膨らむばかりである。夢ばかりではない。

 どうやって名古屋港に行けばいいのか、地下鉄$${^{*2}}$$じゃないと行けない、今度の遠足は名古屋港らしい、誰それが凄い本を拾ったらしい、と寄ればそんな話ばかりしていた時期もあった。

 学友と話しているうちに、どうして名古屋港にはエロ本$${^{*3}}$$が落ちているのだろう、という疑問が湧いてきた。当時の信頼できる消息筋によると「外国船の船乗り$${^{*4}}$$が停泊中に自分の国から持ってきたエロ本をそこら辺りに捨てていく」というのだ。今考えると道端に落ちている雑誌と同じ様な連想だが、当時は成る程と思った。恐らく税関$${^{*5}}$$で没収された猥褻雑誌が名古屋港のどこかの倉庫に保管されているはずだ、という大人による民間伝承が、「税関制度$${^{*6}}$$」が小学生にとって理解しにくいため、「船員が捨てた」という話しにすり替わったのではないだろうか。

 名古屋港はかなり大きな港$${^{*7}}$$である。エロ本が捨てられていてもこれを見つけるのは至難の業であろう。小学生の儚い夢であった。

*1 名古屋港のホームページ
*2 名古屋市営地下鉄のご案内
*3 川崎ゆきおサイト エロ本
*4 Matrozen/Dekdienst
*5 財務省 名古屋税関
*6 税関ホームページ
*7 大きくて力持ち

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