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20020913 自動車のアース

 最近買い換えた自動車$${^{*1}}$$の燃費$${^{*2}}$$が悪過ぎる。10.15モード燃費が9.8km/lなので通常走行ならばだいたい8掛けで、7.8km/lぐらいのつもりでいたが、6.8km/lぐらいしかいかない。ハイオク指定だから燃費が低いのは出費が辛い。しかも燃料タンクは63リットルしか入らないので、給油をしょっちゅうしなければならない。

 何とかして燃費を上げたい。車体のアースを確実にすると燃費が向上するという噂がある。巷では「アーシング$${^{*3}}$$」というらしい。

 電気用語で接地のことを「アース」という。英語で地球を意味する「earth$${^{*4}}$$」である。アースがないと電気機器が漏電した場合、それに触ると電流が鉄で出来た筐体から人体を通って大地に流れるので感電する。予め筐体と大地がアース線で結ばれていれば、漏電しても人体には電気は流れない。銅などの金属で出来たアース線の方が人体よりも電気が格段に通りやすいからである。家庭に配電されている交流は感電防止のためにもともと近くの電柱でアースされている。例えば電子レンジや洗濯機が漏電すると電流は予め取り付けられたアース線から地面を通って電柱のアースに戻る様になっているのである。この「アース」の場合、「漏電」という事故が起こった時だけ、電気が流れる。

 電気関連の「アース」にはもう一つ意味がある。回路を流れてきた電気を電源に戻す経路という意味に使う。この「アース」は電気回路が動作すれば常に電気が流れている「アース」である。

 自動車の車体は鉄で出来ている。鉄で出来ているので電気がよく通る。自動車の中で電気配線をする時に自動車の車体を電気の戻りの経路にしておけば、プラスの配線だけして、戻りであるマイナスは近くに鉄が露出している車体に直接つなげるだけで電気配線が完了する。これは自転車でもオートバイでも同じである。車体は漏電した時にだけ電気が流れるアースではなく、常に電気が流れるアースである。

 従ってもともと車体はアースされているので、車体のアースを確実にすることを「アーシング」というのはちょっと変である。ただearth$${^{*5}}$$には動詞としての用法もあるので「earthing」は間違いではない。

 車体ではなく銅線などを使って直接バッテリーに電気を戻すようにすれば、全体の電気抵抗が小さくなりヘッドライトや室内灯がほんの少し明るくなるのは納得出来る。しかしこれによって燃費が向上するのはどういう理由なのだろうか。ガソリンの点火は点火プラグで行われる$${^{*6}}$$。エンジンの燃料の噴射は電気的に制御$${^{*7}}$$されている。燃料の噴射自体も電気ポンプと電磁弁を使っている。全体の抵抗が小さくなることによってこれらにどれくらいの影響があるのだろう。

 配線を追加するだけなので特に悪影響はなさそうだが、買い換えた自動車はバッテリーがエンジンルームではなくトランクに設置されているので、そこまで電線をはわせるのはかなり面倒のような気がする。実行はもう少し考えてみよう。

*1 20020804 新車購入
*2 20010903 燃費道
*3 アーシング
*4 アース製薬のホームページへようこそ!
*5 earth. The American Heritage® Dictionary of the English Language: Fourth Edition. 2000.
*6 点火装置
*7 ガソリンエンジン制御システム

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