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20031116 自動タイヤ空気入れ

 自転車をこいでいると知らず知らずのうちにタイヤに空気が補給される仕組みがあるらしい。電気やボンベなどは必要としない。ただ、こいでいるだけでいいのだ。こういった仕組みは何でも電子回路で制御してやろうという安直さがなく、無駄もなくていい。

 これ$${^{*1}}$$がその仕組みである。自転車の車輪の軸の部分に取り付ける。装置の中に空気ポンプが仕組まれていて回転によってそのポンプがタイヤに空気を送るようになっているらしい。タイヤの空気が適切な圧力になると、それ以上タイヤに空気が送り込まれないようになっている。

 以前に自転車の空気圧を監視する「空気ミハル君$${^{*2}}$$」という部品について書いたことがある。これは空気圧が適正かどうかを見るだけのものである。そんなのはタイヤを指で押してみれば判ることなのだ。あってもなくてもどちらでもいい部品だ。それに較べて自動空気ポンプの存在価値は十分ある。

 更に凄い仕組みがあった。これは自動車のタイヤに空気を自動的に充填する仕組み$${^{*3}}$$である。基本的にはゴム管をしごいて空気を送り出す原理$${^{*4}}$$を使っているらしい。テレビジョンや映画で化学の実験室や手術の場面などに出てくるポンプ$${^{*5}}$$はこの原理を使っている。

 自動車のタイヤ$${^{*6}}$$の接地面もしくは側面に細いトンネルを作っておく。もしくは車輪$${^{*7}}$$とタイヤとの接触面に細い溝を彫っておく。これらトンネルや溝はタイヤが回転する毎に潰れて中の空気をしごき出す。空気の栓は一方通行になっているので、しごかれた空気はタイヤの中に入っていく$${^{*8}}$$。

 タイヤが回転している間、際限なく空気がタイヤに送り込まれればタイヤはパンクしてしまう。そうならないように工夫がちゃんとしてある。空気栓とタイヤとの間に設けられたしごき用トンネルをつなぐ管(貯蔵管と呼ぶ)の長さと、その貯蔵管としごき用トンネルとを合わせた長さとの比で圧力が決まるらしい。

 しごかれる直前には貯蔵管の中の空気圧はタイヤと同じになっている。しごかれ出すとトンネルの中に入っていた空気はタイヤの中に入っていく。栓とタイヤとをつなぐ貯蔵管のに入っていた空気の圧力どんどん薄まる。つまり貯蔵管の長さが貯蔵管とトンネルとを足し合わせた長さの1/3だとすると、しごき終わる直前にはタイヤ空気圧の1/3になる。この1/3の圧力が大気圧より低ければ一方通行の空気栓から貯蔵管に空気が入ってくる。この入ってきた分の空気が、またしごかれてタイヤの中に入っていく。

 タイヤの空気圧の1/3の圧力が大気圧よりも大きい場合、空気栓は一方通行なので貯蔵菅の中へは空気が入って行かない。従ってタイヤにはこれ以上空気は補給されないのである。

 単純な仕組みで非常に有用な機能が実現できている。電子回路を使ったタイヤ空気圧監視の仕組み$${^{*9}}$$などがあるが、自動タイヤ空気入れの方がよっぽど意味がある。

*1 株式会社 中野鉄工所 エアーハブ
*2 20020226 空気ミハル君
*3 EnTire
*4 Peristaltic Pump (from Internet Glossary of Pumps)
*5 Pumps, Fluid handling
*6 タイヤの基礎知識 タイヤの構造
*7 BBS JAPAN OFFICIAL SITE
*8 EnTire anim_test3opt.gif
*9 タイヤ空気圧警報システム[カーメンテナンス]All About Japan(2/2) パンクをドライバーに知らせる機能 タイヤ空気圧警報システム

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