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20050223 チョコレート(2)

 チョコレート$${^{*1}}$$の続き。夏にチョコレートを部屋に置きっぱなしにしておくとチョコレートの表面にうす茶色のかびみたいな物ができることがある。「ブルーム現象(ブルーミング)$${^{*2}}$$」と言うらしい。チョコレートに含まれているココアバターという脂肪分が、高い温度にあって表面に浮き出して、冷えて固まる現象$${^{*3}}$$である。

 幼少の頃、親にこれはかびだから食べない方がいいと言われたが、かびによる害よりもまずチョコレートを味わう方が先決だったので構わず食べていた。食べるとぼそぼそした歯触りがする。これがまた良かったのである。ぼそぼそとしているので口の中でチョコレートが空気と程良く混ざっていい感じになった。

ブルーム現象$${^{*4}}$$が起こると口溶けが悪くなって良くないと一般に言われているが、これを味わっていたのである。納豆$${^{*5}}$$の黎明期はこんな風だったのだろうか。

 何故ぼそぼそになるのか。チョコレート$${^{*6}}$$に含まれるココアバターの固まり方は六種類$${^{*7}}$$あるらしい。最も良いとされる固まり方は一つしかなく、チョコレートを作る時にはこの一番良い固まり方になるように温度を微妙に調整しながら$${^{*8}}$$固めていく。こうして出来上がったチョコレートが製造時の微妙な温度とは違う温度で溶けて固まるとココアバター$${^{*9}}$$とカカオ豆$${^{*10}}$$を炒ってすり潰したカカオマス$${^{*11}}$$とが分離してしまう。分離したココアバターが表面に現れてくるのがブルーム現象である。専門的にはブルーム現象は二つあるらしく、ココアバターが表面に出てくるのを「ファット(油脂)ブルーム」といい、ココアバターとは関係なくチョコレートの表面に結露した水分に溶け出したチョコレートの砂糖が再び固まって表面に現れるのを「シュガーブルーム$${^{*12}}$$」という。

 ブルーム現象を起こさないようにする方法があるらしい。BOBと呼ばれる物質をココアバターに混ぜるとブルーム現象が起きなくなる$${^{*13}}$$ようだ。最近、「かび」の生えたチョコレートになかなか出くわさなくなったのはこれの所為かもしれない。

*1 20050222 チョコレート
*2 日本チョコレート・ココア協会
*3 明治製菓 : チョコレートおもしろ博物館
*4 マスターフーズ チョコレートの表面が白くなってしまいましたが、食べても大丈夫ですか?
*5 豆学会(Nattou Gakkai)
*6 学研サイエンスキッズ
*7 明治製菓 : チョコレートおもしろ博物館
*8 狭い温度範囲で起こる油脂の相転移の様子を細かく知る
*9 明治製菓 : チョコレートおもしろ博物館
*10 カカオはロッテ
*11 カカオマス・ココアバター
*12 FAQ(よくいただくご質問) - お客様サービスセンター : Morozoff
*13 チョコレートのテンパリング(温度調節)について。 

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