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20050817 月の表側

 月は表側しか見えない。厳密に言うと裏面がわずかに見える$${^{*1}}$$らしいが、いつもは兎が餅つきをしている面$${^{*2}}$$しか見えない。何故か。月の自転と公転が完全に一致しているからである$${^{*3}}$$。月が地球の周りを大体一ヶ月かけて回るのと同時に自分自身も一回転する。

 自転と公転とが一致するとは何たる偶然かと思っていたが、これはごく当たり前の現象らしい。何らかのきっかけで主体となる天体の周りを衛星が回りだしたとする。太古の昔に何かのきっかけで月も地球の周りを回りだした$${^{*4}}$$。最初のうちは自転と公転とが一致する必然性はないので、それぞれある速度で回転していたのが、時が経つにつれて一致するようになったらしい。

 そうなったのは、天体は完全な球体ではなくまた内部も偏っているのが原因という。主体となる天体の周りを回っていれば衛星自体は必ず引力の影響を受ける。偏りがあるとその偏った部分が常に余計に引っ張られる$${^{*5}}$$。そうすると衛星の自転に制動がかかる。最後には起き上がり小法師$${^{*6}}$$や達磨$${^{*7}}$$のように錘の入った尻を地球に向けて安定する。月も同様に、偏って重くなっている部分が常に地球の方に向くようになったのである。こういった現象を人工衛星の姿勢制御に使うことができるらしい。「重力傾度安定方式$${^{*8}}$$」と呼ばれている。安定するのに時間がかかるためか人工衛星ではあまり実用的ではないようだ。

 それでは、いつ、月の内部が偏った$${^{*9}}$$のだろうか。潮の干満が月や太陽の引力で発生する$${^{*10}}$$ように天体自体も変形する。月自体も地球の引力によって偏りができたのかもしれない。隕石の衝突によってできた$${^{*11}}$$のかもしれない。どちらなのかよく判らないが、少なくとも現状のような固い状態で地球の引力などでは殆ど変形しないと考えられるようだ。従って月がいつも同じ側を見せだしたのは、月ができて冷え固まってから、もしくは隕石が衝突して偏りができてからしばらくしてのことになる。

*1 【今週のお月さま】月の裏側が見えない理由って? | ウェザーニュース
*2 Moon Photo Page
*3 FAQ: 月の自転・公転周期
*4 月の起源 - 月を知ろう - 月探査情報ステーション
*5 moon-forces
*6 ローリーポーリーNo.343
*7 サッカーチーム piquet8.jpg
*8 人工衛星の姿勢制御(1)受動安定方式
*9 Chapter 6, Figure 9 Moon's interior
*10 潮の干満はなぜ起こるの?
*11 Chapter 6, Figure 14 Lava floods the basins to make the maria

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