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20060614 マイティジャック(2)

 考えてみれば、特撮$${^{*1}}$$の凝り方は模型の大きさで随分変わってくる。先日、円谷プロ作品のマイティジャック$${^{*2}}$$に使われた特撮について書いた。

 海外映画のDVDの特典映像を見ていたらその映画に使われている特撮についての説明があった。その映画では大爆発の場面で七分の一の模型を使った言っていた。模型の大きさが大きくなればなるほど迫真感が出る。一対一になれば本物そのものの撮影と同じになる。模型がだんだん小さくなると気体や液体の粘性の影響が出てくる$${^{*3}}$$。微生物にとっての「水」は、我々にとっての「水飴」という関係と考えればいいだろう。模型の振る舞いはその大きさで変わってくるので、いくら模型を拡大して撮影しても実物とは雰囲気が変わってくる。液体だけではなく、気体でも粘性の影響は同じなので、爆発時の炎の広がり方など小さい模型ならばそれなりの燃え方しかしない。模型を大きくすれば、この粘性の影響は小さくなる。

 七分の一と言えば、高さが7mある二階建ての家の模型は1mの高さになる。模型と言えばプラモデル$${^{*4}}$$を思い浮かべる私の感覚からすると相当大きい。確か大昔の「タワーリング・インフェルノ$${^{*5}}$$」という超高層ビルの火災を描いた映画では高さ30m程度の模型$${^{*6}}$$を使った、と聞いたことがある。これもかなり大きい。

 マイティジャックの特撮に関して、丘の上の一軒家が爆発する場面で屋根瓦が吹き飛ぶところが凄いと書いた。模型の家の高さが1~2mもあれば、模型の瓦を葺くのは当たり前のような気がしてくる。

 円谷プロはあの撮影にそんな大きな模型を使ったのだろうか。否、違うだろう。円谷プロと言えばウルトラマンや怪獣である。これらが建造物を破壊する場面が特撮の中心である。ウルトラマンや怪獣は身長が40mぐらい$${^{*7}}$$である。それを身長170cmぐらいの人間が演じるのだから、家の高さは高くとも30cm程度になる。その30cm程度の家に瓦を一つひとつ葺いたのだろうから、凄いといえば凄い。

*1 円谷英二オフィシャルサイト
*2 20060606 マイティジャック
*3 第 4 章 粘性流体の力学
*4 20050731 小さな歯車
*5 タワーリング・インフェルノ
*6 タワーリング・インフェルノ 撮影秘話
*7 ウルトラ40th on FLET'S

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