見出し画像

20070114 痔

 肛門やその付近に生じる病気を「痔」と漢字で書く。現代では読み仮名は「$${^{*1}}$$」だが、歴史的仮名遣いによる$${^{*2}}$$ならば「$${^{*3}}$$」である。「ち」に濁点の方は「血」を連想させるので痛々しい。

 「寺」は歴史的仮名遣い$${^{*4}}$$でも音読みは「じ」だが、「痔」は旁に「寺」を含むにも拘わらず「ぢ」になる。漢字の成り立ちは、やまいだれに音を表す「寺」が組み合わされたのだから痔は「じ」でも良さそうである。やはり「血」の連想が効いているのだろうか。

 「痔」という漢字の由来として、寺からの連想で墓に入るまで治らないとかあまりの辛さに寺に駆け込むという俗解がある。中国語に肛門の病気を表す「じ」という言葉が元々あったのか、漢字が先にできたのかよく解らない。前者であれば「寺」は単純に音を表しているだけだ。後者ならばやみくもに旁字を持ってくるはずはないので、「寺」の意味が関わったことになる。そうなると俗説もまんざら間違ってはいない。元来、「寺」は「もつ」「とどまる」という意味があるらしい。痔は尻の穴$${^{*5}}$$に「何かある」という感じを表しているのかも知れない。

*1 歴史的仮名遣い対照表(イ~ワ)
*2 本文|近代デジタルライブラリー 字音仮名遣の栞
*3 痔でお苦しみのお方様のために
*4 本文|近代デジタルライブラリー 教育上より見たる明治の漢字
*5 +++肛門.JP+++肛門疾患の知識

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?