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20060109 ビバンダムの由来

 フランスのタイヤ製造業者「ミシュラン$${^{*1}}$$」の商標の一つにぶよぶよした白い怪物のような人形がある。ビバンダム$${^{*2}}$$と呼ばれている。ゴムタイヤを重ねて作った人形だ。ローマ字では「Bibendum」と綴る。かねてからこの名前の由来が知りたかった。フランスの会社だからフランス語と思い、仏和辞書を引いてみてもこの言葉は出てこない。当然英語やドイツ語でもない。一体何語なのか。由来は何か。

 ビバンダムは1898年に作り出されたらしい。積み上げられたタイヤ$${^{*3}}$$から着想されたようだ。思い付いたのは創業者であるミシュラン兄弟$${^{*4}}$$で、図案化したのはO'Galop$${^{*5}}$$という画家だった。

 最初に登場したのはこのポスター$${^{*6}}$$である。このポスター$${^{*7}}$$には「Nunc est Bibendum」という古代ローマ時代の詩人ホラティウス$${^{*8}}$$の「詩集」の一節$${^{*9}}$$が書かれていた。

 ラテン語$${^{*10}}$$で「ヌンク・エスト・ビベンドゥム$${^{*11}}$$」と読むらしい。意味は「今こそ(nunc)飲むべし(est bibendum)」となるようだ。これをフランス語風に読むと「ナンク・エ・ビバンダン」だろうか。英語ならば「ビベンダム」「バイベンダム」か。「ビバンダム」は日本読みかも知れない。

 当初、ゴムタイヤ人形の名前は特になかったらしい。ポスターには「bibendum$${^{*7}}$$」という言葉大きく書かれているので、巷間でこの人形を「bibendum」と呼ぶようになったのだろう。人形は兄Andre Michelinと同じ鼻眼鏡を掛けていた$${^{*12}}$$ので、この人形の生みの親である兄も「Bibendum」と呼ばれた$${^{*13}}$$3ことがあったようだ。

*1 日本ミシュランタイヤ
*2 ビバンダム ||| 企業情報 ||| 日本ミシュランタイヤ
*3 ビバンダム ||| 企業情報 ||| 日本ミシュランタイヤ
*4 Michelin
*5 O GALOP (MARIUS ROSSILLON 1867 1946) NUNC EST BIBENDUM LE P
*6 ビバンダム ||| 企業情報 ||| 日本ミシュランタイヤ
*7 Phoenix Art Museum - On Sale Here: Posters from the Collection of Discount Tire Co.
*8 ホラティウス
*9 Nunc est bibendum
*10 山下太郎のラテン語入門
*11 ラテン語格言集 (10)
*12 European Automotive Hall of Fame The brothers who seized an opportunity
*13 ビバンダムの生い立ち

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