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20090503 家庭の中の造花(2)

 先日、近所にある廉価な室内装飾品や調度品を主に取り扱っている連鎖型の大規模小売店舗$${^{*1}}$$に妻と行った。そこには一寸した物を買いにちょくちょく行く。「値段以上」と宣伝していて、確かに「安い」と思わせるので、「想定する価格」以上の価値をもつ商品を多く売っていると思うが、実物を見るとやはりどれもそれなりである。耐久年数など一、二年程度ではないかと思わせる造りの物が多い。こう言う物が身の回りに沢山あるとみすぼらしい気分になってしまうので、安くてもできるだけ買わないようにしている。百円均一屋の物も同じだ。

 店内の一角に造花が沢山陳列してある。樹脂製の大量生産型の造花は「みすぼらしさ」の最たる物である。店舗営業用ならば解らないでもないが、一般家庭において部屋の中に造花を飾る神経が理解できない$${^{*2}}$$。この店は小売店鋪だから一般家庭の人を対象としているだろうし、客は普通の家庭の人が殆どであろう。造花の陳列に場所を取っていると言う事は、それなりに売れているということである。一体どういう事だろう。本当に解らない。造花でも生花でも花は花だと言う人もいるだろう。絹や和紙で花の美しさを再現しようとするのは芸術である。生花の代わりとして単に模倣しているだけの廉価な造花は芸術ではないだろう。そんな樹脂製の造花を毎日、部屋の中で眺めることの何と寂しいことか。

 造花をあれこれ選んでいる人を見かけた。老夫婦であった。造花を買おうとする人が目の前にいたのだ。若者なら何となく解らないでもないが、部屋に花を飾る意味を十分解っていると思われる年齢に達している人達だ。不思議な光景だった。

 店を出た後、妻と件の老夫婦のことを話した。「営業用」ではないか、と言う結論になった。老夫婦は子育てや仕事を引退したという雰囲気ではなかった。この辺りの住民の雰囲気からすれば少し派手目の身なりをしていた事を勘案すると、自分たちの事務所もしくは店舗の装飾用に選んでいたのではないか。そう結論付けたのは、近郷近在に大量生産型の造花を愛でる人などいないと信じたかったからだ。

*1 大規模小売店舗立地法
*2 20030918 家庭の中の造花

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