短編小説【こどもの日、不思議な指】
お題「ゆび」
【こどもの日、不思議な指】
こどもの日の朝、7歳のヒナは、友達のタロウとユキと一緒に近所の公園に集まり、楽しいゲームと笑いでお祝いしました。鬼ごっこをしていたヒナは、ブランコの近くの地面から奇妙な指が出ていることに気づき、ふと足を止めました。
「タロウ、ユキ、これ見て!」と指をさして呼びかけました。
タロウは「なんだこれ?指に見えるよ!」と言いました。
勇気を出したユキは、「…引っ張って見てみようか」と提案しました。
好奇心を抑えきれない子どもたちは、一緒に引っ張ってみることにしました。すると、肩についた泥を払いながら、いたずら好きな小悪魔が地面から顔を出しました。
「これはこれは」と、小悪魔は微笑みました。「まさかこんなににぎやかな子供たちに見つかるとは思わなかった。お礼に願いをひとつだけ叶えてあげましょう。ただし、願い事には気をつけて下さいよ!」
タロウとユキが視線を交わすと、ヒナが声を上げました。
「えーっとね…忘れられない最高のこどもの日になりますように!」
小悪魔は「ああ、実に、実に楽しい願い事だ」と笑いました。「しかし、警告しておきますが、吾輩の魔法は...予測不可能な傾向があります!」
指を鳴らすと、いつもの見慣れた公園は、弾むお城や巨大な動物のおもちゃ、そして子どもたちが見たこともないような珍しい味のアイスクリームなどでいっぱいのワンダーランドに変身しました。
3人はお城でぴょんぴょんジャンプしたり、巨大な動物に乗ったり、変な味のアイスクリームを口から吐き出したりして、力いっぱい楽しみました。
——
その夜、子供たちが興奮して食卓を囲むと、ヒナは両親にその日あった特別な冒険を語り始めました。
「今日、公園で何が起こったか信じられないと思う!地面からね、指が出ててね、それを引っ張ったら、小さな悪魔が現れたの!」
両親は面白そうな顔をしながらも、その話に付き合ってくれました。
タロウは「そうそう、めっちゃ楽しかった!」と目を輝かせて叫びました。
ユキの母親は笑いながら言いました。「あらあら、それはまた大冒険だったね。でも、そろそろ休んだほうがいいよ。明日にはその…不思議な指?と新しい…お友達?を、ママたちにも紹介してね。」
翌日、子どもたちは両親と公園へ行き、不思議な指を探しました。しかし、そこにはピクルス味のロリポップが一個、地面に刺さっているだけでした。ヒナはそれを拾い上げ、信じられないと目を見開きました。
「ここだったんだよ、本当に!」と言いながら、友人たちに確認しました。
「うんうん、たしかにここだった!」
「おかしいなぁ…」
ヒナはそのアメを手のひらで転がしながら「まあ、こんな変な味のロリポップだって、すごい思い出になるよね!悪魔がいたかどうかはわからないけど、昨日はずっと忘れられない一日だった!」と言いました。
子どもたちは微笑みあい、心の中で小さな悪魔に感謝の言葉を贈りました。
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