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箱根駅伝を見た感想と考察

新年始まって1週間が経ちましたが、僕の新年はいつも箱根駅伝で始まります。

実は僕は大学駅伝のファンで、毎年三大駅伝を見るのはもちろん、今は実業団選手として活躍する元箱根ランナーの活躍を見るのも毎年楽しみにして見ています。

僕自身は陸上経験皆無の素人ですが、今年の箱根駅伝を見てぼんやりと思ったことや印象に残ったことの3つをダラダラと書いていきたいと思います。

①青山学院大学の超攻めの走り

完全優勝といってもいい、2位と10分もの差をつけた青山学院。僕個人として印象に残ったのは、4区を走った飯田選手の走りでした。区間3位で後続との差をさらに広げる走りには心打たれました。

全日本大学駅伝ではアンカーで襷をもらい、駒澤大学花尾選手に追いついて精神的優位に経ちながらレースを進めるも、ラストスパートで離されて8秒差の2位に終わりました。その時の飯田選手は、追いついてから一気にペースをあげ攻める走りで花尾選手を離しにかかるか、最後まで一定ペースを刻んでラストスパートで勝負を決めるかの二択を迫られ、後者を選択しました。ですが、この守りの選択がかえって飯田選手のペースを乱し、ラストに力が残っておらず僅差で敗れる結果に。

きちんとした練習が積めており力があるにも関わらずこの選択をしてしまったことを、飯田選手とその指示を出した原監督はひどく後悔したそうです。

「迷ったら攻めろ」
これを胸に刻んだ飯田選手は、今回はトップで襷を受けてから攻め続けました。対する駒澤大学の花尾選手は、同じ4区を走って区間9位。非常に力のある選手ですが、8.9kmの二宮地点では区間16位と抑えすぎて入ってしまったこともありタイムはあまり伸びませんでした。守りにはいった花尾選手の走りは飯田選手の走りとは対照的に映り、4区終了時点で青山学院の優勝確率はかなり高かったように思います。

復路でも3人が区間賞、のうち2人が大幅な区間新記録を叩き出したのは、この攻めるマインドがチームに浸透していたことの証だと思います。

勝負事に臨むにはその前の準備が大事だと思いますが、いくら準備ができていて力がある状態でもいざ勝負するときのメンタル次第でここまで結果が変わんですね。やってきたことに自信をもって、いざやるとなったら守らず攻めることが大事なのかもしれません。

②新興校の台頭と古豪の復活

2位以下は大混戦でしたが、その中でも気になった大学をあげていきます。

5位東京国際大学は6回目、7位創価大学は5回目の出場ですが、どちらも三年連続のシード権獲得となりました。8位國學院大学は戦力からみて少し物足りない結果かもしれませんが、シード権はとって当たり前のチームになってきました。
2位順天堂大学は1区の出遅れが嘘であるかのような順位でゴールし、強さを見せつけました。6位中央大学は、10年ぶりのシード権獲得。一時は予選会通過すらも苦戦していましたが、見事復活を遂げ来年以降も期待を持てる結果になりました。

一方、予選会で圧倒的な力を見せながら見せ場すらなかった14位明治大学、大エースがいながら力なく散った13位早稲田大学、シード権の常連校だった16位中央学院大学がシード権争いにすら参加できなくなっているのは少し残念でした。

ここ数年で勢力図が急激に変化してるように見えますが、これは時代の流れに従って学生の考え方が変化していることや、技術の発展によって新たな科学的知見を得られるようになったこと、それに伴って日本陸上界が高速化していることなどが影響しているように思います。それに対応できている大学とそうでない大学で差が生まれているのかもしれません。

今大会3位、前大会優勝の駒澤大学の大八木監督は熱い檄を飛ばすことで知られる監督ですが、ここ数年でシードを逃すこともあったことを受けて指導方針を変えたそうです。有無を言わさず選手を叱咤し学生から恐れられるほどのかつての指導方法では今の学生には通用しないと思い、選手とのコミュニケーションを増やしたり選手の自主性を重んじた練習をすることもありました。その結果が昨年の優勝と全日本大学駅伝の2連覇、また田澤選手や鈴木選手のような陸上界を代表するような選手の育成につながっているように思います。

中央学院大学は前回大会はまさかの予選会敗退。この原因について、監督自身が高速化の流れに対応できておらず練習メニューが予選会を突破できるようなものではなかったと振り返っています。今大会でも、大エース栗原選手が調子をおとしていたこととその栗原選手を1区に起用せざるを得なかったチーム状況を見ても、シード権を逃したのはやむを得なかったように感じます。
上記した早稲田大学や明治大学は監督はまだ若く力がある選手は揃っているので、1からチームを作っていってほしいと思います。

ただ、僕自身は10年後の勢力図はますます変化しているのではないかと予想します。僕が把握しているだけでも、立教大学は2024年の出場を目指して強化を始めていますし、慶應義塾大学も駅伝強化に乗り出しています。今回初出場した駿河台大学は個性派監督のもとで何かやってくれそうな予感がします。シード権争いだけでなく青山学院の優勝を脅かせるような大学が増えればいいなとも思います。

③箱根駅伝とその先

レース後、Twitterを見ていたら

青学は箱根を勝つための強化をしていて東洋東海順天駒澤は世界を目指した選手の育成をしているから、、(略)

という旨のツイートを何件か見ました。これにいろんな人が意見を言っていました。

正直僕は各大学の強化方針までは細かくわからないのでなんとも言えません。確かに今実業団でトップレベルで活躍する選手の出身は駒澤早稲田東洋などと言った大学で、青山学院の選手は少ないのは事実です。ただ個人的には、今後青山学院が常に箱根駅伝の優勝候補でありつづけながら将来的に世界で戦える選手を育成できるチームになるのではないかと思っています。

青山学院大学が箱根で強い理由は、原監督の指導方針が大きく影響していると思います。
原監督自身が一番に掲げている最終的な目標は、箱根駅伝で勝つことや常勝チームをつくることでもなく、陸上界を発展させることです。サッカーや野球をやるような子供たちが陸上をできるほどの陸上人気を日本に広めていくことを目標に日々メディアに出ています。メディアに出ることで、まず原監督自身の存在を認知してもらい、そして箱根駅伝というコンテンツを認知してもらい陸上の魅力を伝えていきたいという思いがあります。ただ、強豪校でもないよくわからないチームの監督が陸上の魅了を広めても誰も聞いてくれません。だから、正月に行われる最も人気と知名度のある箱根駅伝の常勝チームの監督であり続けないといけないし、そのための強化を行っているのだと思います。

かといって、箱根駅伝で勝てればなんでもいいというわけではありません。あくまで指導者として一番大事なのは、学生が陸上を通して人間的な成長をしてから社会にでていくことです。原監督が特に何をいうでもなくとも学生たちが自ら考え行動して成長していくようなチームを作り、そこに結果がついてきたという感じでしょうか。その組織が保たれている限り、青山学院大学はより強いチームになっていくと思います。

今年はエントリーメンバー全員が学生トップクラスの証である10000m28分台で史上最強メンバーでした。また、学生でありながら2名の選手が日本選手権に参加し、実業団選手を相手に結果を残しています。そして、2月には5名の選手が初マラソンに挑戦し、3区を走った太田選手は4年時に行われるパリ五輪の出場を目指すことを公言しています。

このように学生のレベルが上がり早くから世界を見据えた選手が出てきていることは、青山学院大学陸上部の組織がより盤石なものになっていることが理由の一つなのではないかと思います。


長くなりましたが、以上です。
来年の箱根駅伝が今から楽しみです!










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