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発表スライドを作りながら実験を行う

今日は発表スライドを作りながら実験を行うについて書いていきます。実験と書きましたが、皆さんの仕事にも十分置き換えられる内容になっていますので、最後まで読んでいただければ嬉しいです。

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みなさんはプレゼンテーションをする時の発表スライドをどのタイミングで作っていますか。

まさか、発表の数日前に慌てて作っていませんよね?

私の周りでも締め切りギリギリまでスライドを編集している人が多い(というかほとんど)。細かい編集ならまだしも、前日になってスライドの構成を大きく変更したりする人も少数ながらいます。

厳しいことを言えば、そんな発表は聞くまでもなく、そのクオリティーはたかが知れています。

「どうしても発表の前日まであるいは発表の直前までスライドの構成を変更したりしてしまう。」

「本当はもっと余裕を持ってやりたい。」かつての私も発表の直前まであたふたしていました。どうすればいいのか。

もっと早くから作っておけばいいのです。

発表スライドは実験を行いながら作っていきます。もっと言えば、スライドの大枠を作ってから実験を開始します。

なぜこんなに早くスライドを作るのか。

・常にストーリーを意識する


理由はストーリーを意識して、まず仮説を立ててから、実験を行うためです。仮説を立てることで、自分は何のために実験を行っているのか、何を解決したいのか、という軸がぶれなくなるからです。

最初にスライドを作ると無駄なこと、ストーリーに関係のない実験や分析を回避することができます。

仮説を立てないで、とりあえずやってみる精神で実験を行うと、後から見返すと、実はやる必要がなかったみたいなことが多くあります。

時間無制限ならいいんですが、ほとんどの人は様々な締め切りに追われ、限られた時間の中で成果を出さなければなりません。無駄な実験をしている暇はありません。

行き当たりばったりのことをしていると必ず時間がなくなってしまい、頑張ってはいるのだけれど成果が上がらないことになってしまいます。

・ストーリーは柔軟に変えていく


実験結果によってストーリーが変わるのではないか?

その時はストーリーを少しずつ修正していけばいいのです。それに、そんなに”ころころ”とストーリーが変わるような研究であれば、最初の立てた仮説に無理があるので、実験をする前にストーリーの再構築を行った方が良いです。

常に自分の解決すべき問題に立ち返ってストーリーを修正していきましょう。最初に予想したストーリーに固執する必要はありません。

・視覚化して自分のやっていることを明確にする


「スライドまで作る必要があるのか。」

「頭の中でイメージするだけでいいのではないか。」

頭の中で何となくイメージしているだけでは多くの人にとっては不十分です。

これから解決したい問題を視覚化することが大切です。これは頭の中で何となく分かっている状態を防ぐためです。スライドを作れば、自分があんまりよく分かってなかった部分が浮き彫りになります。そうしたら次の実験に進む前に、ストーリーや仮説を構築し直します。

こういった微調整が周りの人との差を生んでいきます。最初に思い描いた仮説通りに物事が進んでいくことは極めて稀です。正しい方向に進むために、こまめに微調整していく必要があります。

スライドは最初から学会で発表するような体裁の整ったスライドを作る必要は必ずしもありません。絵コンテのようなものでも十分です。実験をしながら、スライドをブラッシュアップしていき、実験が終わると同時にスライドが完成するのが理想です。

私はM1(大学院1年)の時から常にこのようにスライドを作りながら実験を行ってきました。おかげで比較的無駄なことをせずに研究を進めることが出来たと思っています。


さらに上級者(私のいた研究室の准教授)は学生時代に論文を書きながら実験をしていたそうだ。私はこれは出来ませんでした。

私も論文を書いたことがある身なのでよくわかるのですが、全ての実験を終えて、学会発表を終えてから論文を書こうとすると無駄に時間がかかる。

「この主張をフォローする実験結果はこれで十分であるか。」

「学会発表だと発表時間が限られていたから大事な部分だけ話したが、論文にするのであればこの結果とこの結果はまとめた方がストーリーを展開しやすいのではないか」

論文は学会発表以上に論理に過不足がなく、ストーリーを展開していく必要があります。そのため本当にやるべき実験の選定が最も厳しい。逆に言うと最も過不足なく実験が行うことができるので非常に生産性が高い。

実験を始める前から論文に出せるくらいのクオリティーの実験になるのかの見極めは難しいと思いますが、学会発表ぐらいであれば、実験前に仮説を立ててストーリーを意識するのは誰でもすぐに始められると思います。忙しい人こそ無駄なことをしないで成果をあげてください。


じゃあ、またいつか会いましょう!


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