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最終選考不採用

筆者さん
こんにちは。
株式会社○○〇〇〇 採用担当です。
この度は弊社最終面接にご参加いただき、ありがとうございました。採用選考の結果につきまして慎重に社内で協議しましたが、残念ながら今回は貴意に沿う事ができませんでしたことをお知らせします。
・・・・

 その先を読んでいても意味は無い。お祈り申し上げますと書いてあるだけだ。
 これで何社目かな。大学の講義を受けながら授業前に来たこのお祈りメールの事を考えていた。
 なんで!?役員さんからは評価は良かったはず、話も盛り上がったし、退出時に「4月に会いましょう」とにこやかに言っていたのに?みるみると血の気が引いていくのを感じて教授の声も聞こえなくなってきた。横の席に座る中高の知り合いである彼に私の顔色が悪くなったのを悟られないようにしなきゃな。
 世間の内定率が60%を超えているらしい。6月1日になったらこの割合は必然と高くなるに違いない。実際にちらほらと内々定を貰ってリクルートスーツを脱ぎ始めている同期や友人が居る中私は焦っている。インターンシップ経由の早期選考ルートもいくつか乗っていたが気が付けば無くなって、私は20社近くの企業を出していたが残る持ち駒は片手にあるほど・・・。

 このことをここに書いている頃には時間も少し経って気持ちも落ち着いている。厳密に言うならば、追加で別企業の最終面接落ちたから最初に落ちたこの会社に対しては気持ちの整理がついたと言える。でもまぁ、悔しいよ?だって最終まで行って評判も上々だと思っていたのに。(最終面接に残っても半数は落ちるという話もネット上には書いてるから私の後に面接を受けた学生が優秀だったのかも。)でも、何故か最終面接で落とされたその会社の事を憎めない。今まで少なからず選考で落ちた会社に対して「なんだよー」と少し憎しみや怒りというものはあった。では、なぜここはそのような感情は無かったのか?あと一歩でその会社の末席に連なる可能性が大幅にあったのに。

 それは、その会社の役員が本当にいい人たちであったからだ。この人たちに出会うために私はこの選考を受けさせる機会をカミサマがくれたんだと思っている。
 私が少し苦しい時にであったこの役員さんたちは今後私の生涯にかけて役に立つモチベーションの維持の方法を教えてくれた。また、本気で仕事に向き合っている人たちなんだなと本気で思うようなエピソードを話してくれた。
 面接というのは就職先を探すだけではなく、自分に足りない物や考えの至らなさを知り向き合っていく場所であると私は考えている。最終まで残った私凄い、よく頑張った。役員に会えて素晴らしいお話を聞けて本当に良かったなぁ。あの会社で働いている人良いなぁ。あぁ、本当は入りたかったな。(未練は少し残っている。)

 話が変わるが、子供のころ自転車の補助輪が無くなるの時間かかった。数学が苦手だから問題集や教科書がボロボロになるまで解いた。それでも試験結果は下から数えたほうが早かった。TOEICも高校生から受けて通算8回とかになるけど未だに目標の900にはいっていない。あと少しだけどそれが遠い。対して補助輪がすぐに外れた子、数学が得意でいつも高得点を取る子、1回で私の目標である900点以上を取った子がいる。凄いし羨ましい。
 そのことをお話した時に「筆者君だって良いところあるじゃないの。私には無い良いところあるよ?」そう言ってくれた。どうやら私が気が付いていないだけで何か良いところがあるようだ。

 就職活動というのは本当に人との縁であるのだろう。だから面接で私はご縁がありましたら…と話している。面接官からすれば、相手が魅力的に見えなかったけど、他の企業の面接官にとっては魅力的に見えるのだろう。そう考えると恋愛に置き換えてもその話は似通っている。何を言いたいかって?大丈夫、誰かがきっとあなたが持つ魅力に気が付いてくれる。

 あとは捉え方の問題でカミサマは未熟で半人前以下の私に面接を通して自分の足りない部分や至らない考えを逃げずに見つめなおして直せと言っているのかもなぁ。面接も20社近く受けてきて最初は吐きそうと思いながら挑んでいたが今では楽しく受けられるようになった。受付でビジターパスを受け取ってゲートに通しながら、そういえばいつもあの子は面接楽しんでねって言っていたっけ。うん、私は楽しんでいるよ。ここまで成長したよ?絶対に伝わらないし伝えることができない言葉を小さく呟いて、大理石のタイルにカツカツと規則正しい音を革靴が奏でてエレベーターホールへ足を進めながらビジターパスのクリップをスーツの胸ポケットに留める。さぁ、行きますか。

 読者様へ
私も就活生としても人としてもまだまだです。どうかあなたにしかない素晴らしい魅力に気が付く方(人)に出会えますように。

2023年5月25日執筆 再掲載


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