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古本街でのトレジャーハント

 10月2日、多くの人がただの月曜日だと思われるこの日、私は内定式に出席した。その時に簿記をはじめとする各種の勉強を入社前に済ませるように言われているが中々やる気が起きない。そのせいなのか本を読むのにはまっている。いわばエスケープ(現実逃避)をしているのかもしれない。

 私は飛行機が好きな故に航空系のお話の小説を多く持っていたりする。あとは群像劇が好きで田中芳樹先生のアルスラーン戦記シリーズや銀河英雄伝シリーズも好きで集めている。(大人になったら銀英伝愛蔵版を買いたいな。)先日、大幅に蔵書を売却処分した為ラノベの数は減ったがヴァイオレット・エヴァ―ガーデンシリーズも好きである。テレビアニメ版10話は涙腺崩壊するぐらい良いお話である。高校を卒業してから紙媒体で文字を読む機会が減ってしまった。それは日本の教育機関をはじめとする企業でも行われているペーパーレス化によるものだと思う。私自身、漫画を買う時はキンドル経由で購入しているし、自身の知識の為に読み込む論文も大抵はネットでダウンロードしてクラウド経由で読んでいる。でも、久しぶりに紙媒体の本を読んだ時に思ったのは、紙っていいなぁと思いながらページを捲っていた。

 という事で、珍しく土日がバイト休みで他の個人的な用事(ボッチ系大学生なので大抵家で惰眠を貪っている)も無いので出かけようと思い立ったのだ。せっかくだから古本街で名高い神保町に行こう。私が今回所望するのは航空系の小説や航空経営学に関する書籍なのでブックオフでは簡単に手に入るものではないはずだ。もしかしたらそっちにならあるかもしれないし、高校時代は明治の文明開化に興味を持っていて日本史学者になって日本文化と西洋文化の融合について学んで食べていきたかった故、それに関する本もあるかもしれない(結局、食い扶持に困るよと院に進んだ日本史の先生がお勧めしなかったので経営系に進み来春よりしがないサラリーマンになるのだが。)それで最後にHUBに寄って熱々のフィッシュアンドチップスに冷えたドラフトサイダーで流し込みながらその戦利品を読むことにしよう。我ながら最高の休日なのでは?と神保町に向かう電車に乗りながら久しぶりに胸を高鳴らしていた。

 神保町に到着して出口に出たらいきなり古本店が目の前に見えるではないか。こうなったら時間は山のようにあるわけだから目に入ったお店を片っ端らから入ろうではないか。
 この店は古地図を扱っていて一枚数万円する、この店は国文学を専門に取り扱っている、戦史の書籍や能などの日本文化芸能を取り扱う古書堂もある。ある人は映画のポスターを選んでいて、ある人は小難しい古文書を手に取っている。様々な人が居て本を探しながら人間観察を楽しんでいた。
 やがてお店を巡っていくうちに自分が膨大の書籍から自分のお気に入りの一冊を見つけるトレジャーハンターの気分になった。自分の指がダウジングマシーンで気になった本をピックアップしていく。その作業を繰り返してくうちに何冊か面白い本と出会った。最終的に4冊の文庫本を購入していった。

 残念ながら航空経営に関する書籍は見当たらなかった。実際問題、空港経営などの話が出てきたのはここ数十年の話であり、それは長い歴史から見たらほんの若い学問領域である。航空機ができたのも、あの航空産業メーカーの雌雄であるボーイング社が設立して100年ちょっとだ。2000年もの長い歴史からすれば航空史というのは始まったばかりに過ぎないだろう。とご飯を探しながら結論つけた。
 宝探しをして疲れたのかお酒を飲む気になれなかった。結局ステーキ屋でお肉を食べて帰路についた。これから秋も深まり読書の秋とも言われる。友人とはそうそう関わりを持っていないし、折角の休みの日に惰眠を貪るのは勿体無い。いい機会だから今回買った本たちも読んでいこうと机の隅に積み立てられた本の上に今日の戦利品を載せておいた。

おしまい

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