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30分でBLMの根深さを知れる、2021年アカデミー賞の隠れた傑作「隔たる世界の2人」

先月Netflixで配信開始された『隔たる世界の2人』が、第93回アカデミー賞の短編実写映画賞を受賞しました。

今年はコロナの影響で、アカデミー賞参加作品の条件をクリアした配信サービスやオンデマンド配信作品も選考の対象になりました。その結果、Netflixから16作品・38部門にノミネートされ、5作品で7つの賞を獲得しました。

Netflixのアカデミー賞受賞作品の中で今回オススメしたいのが、短編実写映画賞を受賞した『隔たる世界の2人』です。

・アカデミー賞受賞作品が気になる

・世界で起きている社会問題に興味があるけど、難しいのは苦手

・忙しくて時間が取れないし、映画館に行くのも難しい

という方にぜひ観てほしい作品です。


そこでこの記事では、『隔たる世界の2人』がどんな作品なのか、あらすじと見どころについて紹介します。


『隔たる世界の2人』はこんな作品

人種差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター(BLM)」が題材となっている作品で、タイムリープもののSFとしても楽しめる作品です。上映時間はたったの29分、Netflixに加入すれば自宅で手軽に鑑賞できます。

ちなみにタイムリープとは、自分の記憶を持ったまま”過去”に何度も戻る能力の事です。「時をかける少女」や「君だけがいない街」、「アバウト・タイム 愛おしい時間について」などの作品が有名です。

エミー賞受賞脚本家トレイヴォン・フリーとマーティン・デズモンド・ローが共同監督を務めました。主演はラッパーのジョーイ・バッドアスです。


あらすじ

主人公・カーターが白人警官ともめて殺されるたび、1日がリセットされるタイムリープに陥り、何度も殺される恐怖を味わう話です。愛犬が待つ家に帰りたいだけなのに、理不尽に警官に殺され続ける主人公カーターを通し、黒人の絶望を追体験するかのような感覚に陥ります。


みどころ

本作は、BLM運動が活発化する原因となったジョージ・フロイド事件(2020年5月25日発生)をはじめとする一連の事件が背景になっています。

主人公が「I can't breathe.(息ができない)」と息絶えるシーンはジョージ・フロイド氏の事件そのものですし、ラストの姿は、フードを被って道を歩いていただけで殺されたトレイヴォン・マーティン氏の事件を彷彿とさせます。たった29分の映像に多くのキーワードが盛り込まれています。

今も残る人種差別の根深さが凝縮されたラストと沢山の名前が流れるエンドロールは、人種差別に疎い日本人の私にとっても衝撃でした。これだけ世の中に「差別」をテーマにした作品が世の中に増えても、現実が好転していない理由が少しわかった気がしました。


さいごに

『隔たる世界の2人』は、Netflixオリジナル配信の作品です。

私自身、「BLM運動」という言葉は知っていたものの、事件の背景をちゃんとは理解しておらず、この作品をきっかけに調べました。

コロナと梅雨でお出かけできない日が増えますので、Netflixのアカデミー賞受賞作品を観て、世界の現実の一片を知ってみるのはいかがでしょうか。


その他にもアカデミー賞受賞作品のレビューを書いています。ご興味あれば読んでもらえたらうれしいです。


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