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スコットランドの歴史が今に息づく街・エディンバラ

ヨーロッパの街で一番好きなのはどこか?と聞かれたら、私は迷わずエディンバラと答える。
自分にとって思い入れがある事もあるが、それを差し引いてもなお魅力が大きい街だ。

エディンバラはこんな街

エディンバラはグレートブリテン島、スコットランド南部に位置する同国の首都である。
(スコットランドは独立国ではないが、イギリスを構成する4つの”国”の一つであり、その首都である。もっとも今後独立する可能性はあるが。)
産業や人口面ではグラスゴーの後塵を拝しているが、こと観光面においてはスコットランド随一の場所だろう。
北緯約56度とモスクワと同等の位置にあるが、暖流のおかげもあり緯度にしては温暖である。

エディンバラの魅力その1・城

私がエディンバラを推すのにはいくつか理由がある。
まず第一に岩山の上に立つ名城、エディンバラ城がある。

エディンバラ城はロイヤル・マイルと言われるエディンバラの目抜き通りを登りきった所に、街を見下ろすように鎮座している。

エディンバラ城・遠景

城から眺める市街も絶景だし、城の内部も宝器や武具などスコットランド王室の遺産から牢獄として使われていた時代の様子までを見て回ることができる。
余談だが、歴史ある城の多くは一度は牢獄になった歴史を持っている。外からの侵入に堅牢だから中からの脱出も難しいという理屈だろうか。

エディンバラの魅力その2・街並み

第二には街並みの美しさを挙げる。
エディンバラは歴史的な建物の並ぶ旧市街と、都市計画のもと整備された新市街(新と言っても整備されたのは18世紀であるが)に分かれ、それぞれが美しい景観を誇っている。また、全体としてそこまで市街が大きくないため、見どころがコンパクトに纏まっているのも良いポイントだ。

エディンバラ城から見たエディンバラ市街
(中心にある駅を挟んで左のほうが新市街、右が旧市街)

中でも私が一番好きな場所はCockburn Streetという通りだ。

この湾曲した通りとそこに並ぶカラフルな店先が美しいのだ。
下の写真は私がなんの気なしに取ったものだったのだが、帰国後に見返して改めてその通りの魅力に気づいたお気に入りの一枚だ。
10年以上経った今でも定期的にPCの壁紙にしてはボケっと眺めている。

下から眺めたCockburn Street

また、新市街側にある小高い丘、Calton Hillから眺める街並みも見事だ。

あくまで小高い丘程度なので是非に登ってみてほしい。

丘には天文台などともに、ナショナルモニュメントというものがある。
ナポレオン戦争の勝利と戦没者慰霊のためにパルテノン神殿を模して創られようとしたらしいのだが、ご覧の通り、中途半端な姿を晒している。
これは破壊されたとかではなく、予算が足りなくなって途中で創るのをやめて今に至るらしい。当時は見積もりという概念がなかったのだろうか。それとも国立競技場のような問題が発覚したのだろうか。なんともギャグのようなエピソードで逆に気に入っている。

ナショナル・モニュメント

なお、景色を見るならばより体力のある人向けとしてAuthor's seatというところもある。こちらはご覧の通り小高い丘ほど生易しくはないが、エディンバラを一望できるらしい。
私は残念ながら登ったことがないのだが、是非次回は登りたいと思っている。

下から見たAuthor's seat

初めてのヨーロッパ行きにエディンバラを薦める理由

しかし、エディンバラを推す理由のうちの少なくない部分を占めるのは、自分がヨーロッパで一番初めに訪れたから、ということはあるだろう。
おいおい、ただの私情じゃねぇか参考にならん、と思われるかもしれないが、できれば聞いてほしい。

私が初めてヨーロッパに行ったのは2009年の夏。私がまだ大学生の時だった。一度は一人旅をしてみたい、一度はヨーロッパに行ってみたい、という2つの願いを同時に叶えるため、英語圏なら死にはしないだろうという安易な発想でイギリス行きを決めた私は、これまた航空券の値段の都合でスコットランド→イングランドの順で回ることにしたため、結果的にたまたまエディンバラが最初の都市になった。

アムステルダムを経由し、リニューアル前のエディンバラ空港に降り立ったとき、まぁ正直そこまで感慨はなかった。空港なんてそんなもんだろう。
(何ならアムステルダムのスキポール空港のほうがよほど大規模でカジノや美術館もあって感心した)

その後、市内に行くバスに乗り約30分(今はトラムがあるが当時はなかった)、終着地に近づき夕刻に染まりライトアップされたエディンバラ旧市街をが目に飛び込んだその瞬間、「あぁ、自分はヨーロッパに来たのだ」という深い感慨を覚えたことを今でも鮮明に覚えている。
この旅行以来、何度もヨーロッパに足を運ぶほどになったが、きっとこの瞬間にその魅力に囚われたのだろう。あれから10年以上、未だに熱は冷めない。

残念ながらその時の写真は残っていない。おそらくスーツケース持ったままでカメラなんかだしたら一瞬で盗まれるとかそんなことを考えて撮らなかったのだろう。

思い出は美化されるというが、エディンバラにはその後2017年と2019年にも訪れており、その度やはり自分の中で一番好きな都市ということを再確認している。

もし、初めてヨーロッパに行こうとしている人がいた場合、最初の訪問地として私はエディンバラをやはり勧めたいが、そうでなくてもできれば中心地がアイコニックに綺麗な街並みであるところを勧めたい。
降り立ったときにきっとヨーロッパに来たことを深く実感できるから。
NINJA! SAMURAI!みたいな外国人訪日客のことを考えてみてほしい。彼らが日本に来たと実感するのは、ビル街よりも浅草雷門や金沢のひがし茶屋街みたいなアイコニックな街並みではないだろうか。

エディンバラの食事

よくイギリスに旅行するとか、あるいはイギリスに駐在するという話をすると大抵言われるのが「メシまずいじゃん、大丈夫?」であろう。
結論から言って大丈夫だ、問題ない。
駐在していた頃に周囲のイギリス人がよく言っていたが、「確かに昔はそうだったかもしれないが今はそんなことはない」ということだ。昔のことはわからないが、そんなに身構える必要はない。確かに薄味のものは多いが、それを避けたいならばパイやシチュー系の煮込んだものを食べるといい。

そしてスコットランドはイングランドよりも甘いものを中心に、またウイスキーなど美味しいものが多いように感じる。
イギリスの食べ物として知名度のあるショートブレッドやスコーンはスコットランドが発祥である。

余談だが、現地でイングランド人の友人と会話していた際に
「イギリスで美味しいものって実際スコットランドの物が多くないか?」という話題になり、「そんなことはない!スコーンとかあるから!」と言っていた友人がググった結果「Oh, Sh○t! It's Scottish!!」と言って悔しがっていたのが鮮烈で、スコーンがスコットランドのものだと一生忘れないだろう。
まぁハギス揚げマーズバーといったアレな料理もあるのだが、その感想はまた機会があれば書いてみたい。

https://www.instagram.com/scotlandisnow/

上記はScotland is nowというスコットランドの観光情報のSNSアカウントが以前投稿していた、スコットランド名物の飲食物ビンゴなので、スコットランドに行ったら是非ビンゴ目指していろいろ試してみてほしい。

上記の中で特に私がすすめる食べ物は、
Cullen Skink というタラの入ったクリームスープだ。
スモークされたタラと濃厚なクリームが絶妙にマッチしてとても美味しい。
先程も言ったとおり煮込んだりしている系の食べ物は味がしっかりしていて美味しいのだ。

スモークしたタラのスープ、Cullen Skink

それとデザートはCranachanを推したい。平たく言うとラズベリーのパフェみたいなものだが、ウイスキーが少し使われているのが甘いだけではない独特の風味を生み出して美味なので、是非試してみてほしい。

ラズベリーのデザートCranachan

ちなみにどちらの写真もロイヤル・マイルにあるWhiskiというバー・レストランでのものだ。

先に上げた料理が絶品なことはもちろんであるが、その名の通りウイスキーも豊富で、いろんなテーマの飲み比べセットがあるので、ウイスキー好きや、そうでなくてもいろいろ試してみたい人にも楽しめるので、料理と酒を両方楽しみたい人は是非訪れてみてほしい。

エディンバラのマグネット

先の自己紹介でも書いたとおり、私はいろんな街へ行ってはマグネットを買い集めている。
エディンバラのマグネットがこちら。

初訪問した当時はマグネットを集めていなかったので、2度めに訪れたときに買ったものであるが、エディンバラ城とバグパイプを吹く人という意味ではいかにもエディンバラ、という感じのマグネットである。
欲を言えば城だけではなくもっと美しい街並みも入っていてほしいのだが。。。
私はいつもお土産屋をくまなく回って一番好みのマグネットを探すのだが、これを上回るものに出会わなかったのだ。

おわりに

というわけで張り切って第一弾はエディンバラを取り上げてみた。
街全体に歴史が息づいている雰囲気がエディンバラの魅力であり、ロンドンとはまた異なる空気を持った街なので、イギリスに旅行に行く方は1週間以上の行程があるのであれば、是非スコットランドを、エディンバラを目的地に加えることを一考してみていただければと思う。イングランドとは少し違った魅力を知ることができるはずだ。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。
次回は伝説の怪獣の住むところを取り上げてみようと思っています。
ではでは。

エディンバラのターミナル、ウェイバリー駅

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