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デジタルマーケティングにおけるバズワードの流行と衰退。その原因は"ミーハーによる手段の目的化"

私はデジタルマーケティングのフリーランスをしていますが、2014年新卒の社会人なので、デジタルマーケティングの経験は6年ほどしかありません。

この業界には十数年のベテランもいらっしゃるので、私などはまだ若輩なわけですが、その6年の経験で気付いたことがあります。それは、デジタルマーケティングでは、バズワードの流行と衰退を繰り返しているということです。


バズワードの流行と衰退

・ABM
・AI
・BI
・CDP
・CX
・DMP
・MA
・Web接客
etc.

今挙げたのは、デジタルマーケティングのバズワードの一例です。こういった単語や概念が、毎年のようにバズワード化しては消えてゆくわけです。

こういったバズワードの流行と衰退の構図を表したものが、下記の図です。

バズワードの図 (1)

私自身、2015〜2016年にマーケティングオートメーション(MA)の導入支援・運用支援を手がけていたのですが、MAの流行と衰退は、この構図に完全に当てはまります。

■2013年
世界最古のMAであるEloquaの日本市場参入

■2014年
Marketo・Pardotの日本市場参入

上記のような出来事を受けて、2014年は「MA元年」といわれるほどMAが大流行しました。広告代理店や制作会社はMAのコンテンツ制作を、SIerやベンダーはMAの設計・実装と、どこもかしこもMAにかこつけて自分たちのサービスを宣伝していました。こういった会社たちが、自分たちのクライアントにMAの導入を提案することになります。

クライアント企業としても、業界で流行しているわけですから、提案されたものを導入するのにやぶさかではない。とりあえず、提案されたままに導入する企業が続出しました。

このMAバブルが徐々に弾けてきたのが、2017年頃でした。2014〜2016年にMAを導入し、効果が思ったよりも小さかったため、MAを解約する企業が増えてきます。メディアでも、失敗にフォーカスしたコンテンツが増えました(失敗事例、導入失敗しないためのポイントなど)。

この頃から、世間のMA熱が冷め始め、次のバズワードが流行し始めます。2018年頃に流行り始めたのがDMPです。このDMPも一瞬流行りましたが、やがて廃れ、BI、AIなど次のバズワードが流行り始めます。

2020年現在だと、CDPとかDXが流行っていますが、これも同じように導入社数が増加した後、失敗企業が続出することが予想されます。

バズワード化の原因は「ミーハー」

こういったバズワード化、失敗が続出する原因は、一言でいえば「手段の目的化」であるといえます。課題を解決するための手段として、新しい概念を導入するのではなく、「流行っているから」という理由で概念を導入してしまっているわけですね。

つまり、バズワード化の原因は「ミーハー」なのです。

厄介なのは、このミーハーというのが、経営者に意外と多いことです。物事を論理的・戦略的に考えるCOOタイプの人であればそうでもないのですが、情熱や勢いで押し切るCEOタイプの人だと、「最近○○が流行っているから、うちでも導入しよう!」と、勢いだけで導入を決めてしまうことがある。トップダウンで導入が決まっているわけですから、コンサル会社としても導入提案はしやすいわけで、こういう会社が導入するケースは増えてゆきます。

「ミーハーによる手段の目的化」は無くならない。だからこそ、目的から考えられる人材のニーズは無くならない

「手段を目的化してはいけない」というのは、聞き飽きたほど繰り返されている言葉です。そして、これほど実践されていない言葉も無いでしょう。

なぜこの言葉が実践されないのか? 私はずっと理由を考えていたのですが、答えはシンプルでした。「ミーハー」という人間の習性に依存しているのです。習性だからこそ、今後も「手段の目的化」は無くならないといえるでしょう。

これは悲観的な未来ですが、同時に、1つの希望も指し示しています。多くの人間がミーハーであり、手段を目的化してしまうからこそ、目的から考えられる人材のニーズは無くならないのです。そういう人材であり続けるべく、皆さんがんばってゆきましょう。

※もちろん、世の中のすべての人間が、目的から考えられる人材になったほうが良いのですが、それは恒久的世界平和のようなもので、「誰もが理想とするが、人間の習性からいって確実に訪れない未来」だと思います。


私のマーケティングの仕事については下記の記事をご覧ください。

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