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㊶【中小企業にとってイノベーションとは?】地方在住の経営コンサルが地方在住の経営者のために書くブログ。

ざわつき始めた吉備高原

「イノベーション」と聞くとなんだかアカデミックで難しいイメージはありませんか?先日、参加したシンポジウムでそんな先入観が取り払われました。小回りが効く中小企業こそ、小さなイノベーションを繰り返すことで自在に変化し、時代の変化に適応していけると考えるに至りました。

先日、「第3回岡山国際オープンイノベーションシンポジウム」が開催されました。ざっくり会の趣旨を言えば、

岡山県の中央部にあたる広大な吉備高原から産・官・学が知恵を持ち寄り、日本のみならず世界に通用する価値を創造して行こう。」

というものです。私なりの解釈ですが。

温暖且つ穏やかな気候、地盤の安定性(1億年動いていない)、中四国の結節点という立地を活かし大きなスケールで今後の日本、世界に貢献していけるエリアにしていきたいという想いを持った方々が集まり始めている現状があります。特にここ数年間はざわつき始めている印象です。

地方における中小企業の経営コンサルティング業に従事するものとして、今後の活動のブラッシュアップや課題の捉え方の視点、切り口が「イノベーション」というキーワードから深みを持ったものになるのではないかと感じております。

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↑吉備高原の立地図

実は身近なイノベーション

イノベーションを考える上で、原理原則と成り得るのは先人の知恵です。1世紀前の経済学者、シュンペーターの経済モデル革新『経済発展』(1912年)の理論が現代でも十分に通用する基礎理論となります。

・技術進歩あるいはイノベーション(革新=破壊と創造)なしには経済成長の実現は不可能である。(ただし、技術進歩=イノベーションではない→イノベーションを技術革新と呼ぶのはふさわしくない)
・企業者あるいは起業家(アントレプレナー)によるイノベーションが経済発展をもたらす。
・シュンペーターのイノベーション(新結合)の具体的形態➡(1)新しい財貨(製品)の生産(2)新しい生産方法の導入(3)新しい販路の開拓(4)原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得(5)新しい組織の実現

(1)~(5)を見てどう感じられるでしょうか?おそらく、意外と地味な印象であったり、経営して行く上で当たり前の考えただな、と思われた方も多いのではないでしょうか。

そうなんです。イノベーションは意外とそこやかしこにあるものなのです。

(1)は新商品・サービス開発。(2)は生産方式やサービス提供方法の改良。(3)新規先への営業活動。(4)仕入れ先との交渉。(5)内部組織の社内ルール変更。

と言い換えればイメージしやすいのではないでしょうか。

イノベーションの前に経営計画

私のコンサルティングにおいて、経営計画・毎月の試算表・資金繰り表は中小企業経営におけるいわば三種の神器と捉えております。

経営計画を作成していく中で、根拠となる根っこの部分がSWOT分析です。SWOT分析において以下の戦略が導き出されます。

積極戦略

差別化戦略

改善戦略

致命傷回避・撤退縮小戦略

これらの戦略を元に戦術が生まれ、その戦術を実行していく過程において、(1)~(5)の細かなイノベーションに対する挑戦が日々繰り返されることになります。そして、それらイノベーションの費用対効果を検証していく診断ツールとしての毎月の試算表と・資金繰り表(予算と実績の比較)が存在しているのです。

あるべき姿を経営計画で明確化し、取るべき戦略と戦術を可視化し明記する。そして、毎月の検証作業を実行し、新たな工夫を重ねていく。こういったPDCAサイクルをいかに細かく繰り返し満足のいく水準にまで高めていくかという粘り強さが経営者に求められる力であると私は考えております。

理想を述べるのは容易いこと。しかし、まずは理想を明確化させることがあるべき未来に向かっていく出発点となります。

経営計画作成に着手することで、エリアのマーケットにおいてトップ20%に入ることが可能です。それは、まだまだ勘に頼った案件積上げ型(昭和・平成型)の経営者が大半だからです。

厳しい外部環境変化を弱者である中小企業はモロに受けます。しかし、経営計画により、その変化に準備することで、業績のブレが最小限に留めることができるかもしれません。転ばぬ先の杖になるのが、仮説を集めた経営計画なのです。

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↑シンポジウムの様子。

いつの時代も人と人

そして最後に、お伝えしたいことは「イノベーションは人と人との繋がりから生まれる」という超アナログな事実です。

たいていの中小企業経営者は社外の人間との接点を多く持ちます。様々な分野の専門家や他業種の経営者らと何かと意見交換する場は非常に多いはずです。ただ、忘れてはならないのは社内の情報共有と情報連携も人と人との繋がりであるという点です。社内のコミュニケーションが密な企業ほど、細かなイノベーションが日々生まれるチャンスが多くなります。DXとまでいかなくても、グループウェアを利用したIT化による情報の可視化が地方における中小企業で、まず求められることではないでしょうか。

私の理解では

イノベーション=創意工夫による新たな価値の創出

です。

人と人の繋がりから新し気付きや着想が生まれ、物理的なもの、情報空間にあるものを問わず、それら知識の無数にある組み合わせや掛け合わせから、新しいイノベーションを今後も生み出し続けることが長期的、持続的経済成長をもたらしていくことでしょう。

どれだけ小さなイノベーションを繰り返したのか。毎月実行し、検証作業をし続ければ、自社にとって大きな財産となり、確実に置かれたマーケットにおいて成長しているはずです。成長はイノベーションからもたらされるのです。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

中村徳秀

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