「書く」ということについての本

毎日noteを書こう、と突然思い立ったのはベルリンで初めてのロックダウンが終わった5月上旬のことだったように思う。

撮影の仕事が次から次へとキャンセルになり、これまでの日常が非日常になっていくのを目の当たりにし、接触制限などのルールで行動範囲が狭まっていく。

そんな生活を2ヶ月ほど過ごした反動が大きかったのだろう。自分のこれまで当たり前だと思っていた「日常」がボロボロと脆く崩れ落ちていくような感覚に陥っていたころだ。

自分にタスクを課すことでなんとか精神的なバランスや生活リズムを保とうとしたのかもしれない。

それから既に丸1年が経った。1年前と何が変わったのか、と聞かれても実はよくわからない。ただ、毎日noteを書き続けていると、書いていないと逆に気になってソワソワしてしまう。

あ、今日はまだ何も書いていないじゃないか

こんな風に。

始めたきっかけが自分のバランスを保つためだったので、人に読まれることを前提にして書く、というよりもジョギングと同じように生活の一部になればいいな、という割と気楽な感じだった。どちらかといえば自分のために書いているのだ。

「書く」ということはそれでも多くの人にとってハードルの高いことのようで、「文章の書き方」のような本を検索してみると、それはもう色んなタイプの本がヒットする。

「書き方」だけでAmazonのサイトで検索してみると、次のような本が出てきた。文章術のベストセラー本100冊なんていうものまであるのだ。新潮文庫の100冊ではなく「文章術のベストセラー本100冊」というタイトルで本が1冊出ているのだから驚きだ。

言葉ダイエット メール、企画書、就職活動が変わる最強の文章術
悪文・乱文から卒業する 正しい日本語の書き方
伝わる書き方
「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

「書く」と言っても誰に向けて何のために書くのか。その目的も方法もルールも様々でジャンルも多岐にわたる。ビジネスレターなのか企画書なのか。小説なのか、それとも記事なのか。ツイッターのつぶやきなのかLINEメッセージなのか。

小学校で習った原稿用紙の使い方、というものはそれほど役に立つものではない。夏休みの絵日記や読書感想文はいいとしても、実際に学校を卒業してから「書く」機会の方が多いわけだし、その割には「書き方」そのものを教えてもらう機会はそれほどないのが現実だろう。

ビジネス書や実用書が苦手なこともあり、敢えて「書き方」の本をこれまで手にとってはこなかった。もしかすると、読んだ本に影響を受けるのがこわかったからなのかもしれない。

それでも最近になってようやく1冊の本をKindleで購入した。まだ読んではいないが、こちらの本だ。

この本を購入してから、信頼している友人から是非読んでみて下さい、と次の2冊の本を紹介して頂いた。全くタイプの違う2冊の本だ。ざっくり言うと「仕事」として書く場合と「自分」のために書く場合についてそれぞれ「書き方」が綴られている。

それまで避けてきた「書くための本」たちが一斉に手元にやってきたのだ。これらの本を読み終えたらまた自分の中で「書くこと」について何か変化が起きるかもしれない。

書ける人になる!をさっきまで読んでいて気になった箇所があるので、以下に引用しておこう。

ひたすらノートを書き埋めていくこと。それが修行だ。私の理想は、毎日書くこと。しかし、それはあくまでも理想だ。書かない日があっても、それについてあれこれ考えたり心配したりしないようにしている。理想どおりに生きられる人なんてどこにもいないのだから。
なによりも自分のために書いているのだから、自分で限界を設ける必要なんてない

「書く」という行為はもしかすると「生きること」にどこか通ずるものがあるのかもしれない。

タイトルイラスト:gaaasa_meeen


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