『ゼロからトースターを作ってみた結果』を読んでみた

おはようございます!ざきさんです。
無事プロジェクトにアサインされて社会人としての生活が始まりました!データ分析ってデータを整理するまでが非常に大変なんだなとつくづく実感しております。

さて、今回ご紹介するのは『ゼロからトースターを作ってみた結果』(トーマス・トウェイツ)です。昨年私が読んだ本の中でもトップ3に入る面白さでした!!タイトルだけでなく表紙の奇妙な物体にも興味を惹かれて面白半分で手に取りましたが、面白いだけでなく学びが多い一冊でした。


本書のポイント

①私たちが享受している豊かさは長い年月と多くの人類によって築かれた
②新しいプロセスが古いプロセスよりも優れているとは限らない
③「貧しい」というのは相対的な定義である


①私たちが享受している豊かさは長い年月と多くの人類によって築かれた
この本では、タイトル通り“ゼロから”トースター作りを行なっていきます。トースターを構成している材料を全て自前で集めて加工も行っています。一見どうってことないことのように思えますが、このトースターづくりは困難を極めます。
トースターを分解してみると、銅やニッケル、鉄、スズ、プラスチックなどで構成されています。どれも化学の授業などで耳にしたことのある材料ですが、天然では手に入りづらいものや、存在しているとしても手に入れるまでには自然のとてつもない厳しさが立ちはだかっているものばかりでした。
私たちはトースターに限らず様々な優れた製品を用いて生活を送っていますが、その一つ一つを自分の力で作ろうとすると途方も無い時間がかかることを実感しました。人間が一生のうちに行えることは限られています。今の私たちの生活は、私たちの祖先が、生活を便利にするための工夫や技術をコツコツと積み重ねて受け継いできた結果であると言えます。
次の世代に対して現代を生きる私たちには何ができるでしょうか。

②新しいプロセスが古いプロセスよりも優れているとは限らない
私たちは、新しい技術は古い技術よりも絶対に優れていると考えがちです。もちろんそれが正しい場合もあれば、そうではない場合も存在することを本書を通して学びました。現在残っている技術は何かしらの歴史的背景によって、以前の技術よりも非効率だけど残っている場合もあるのです。
〈温故知新〉〜古きを知り新しきを知る〜という諺があるように、目新しいものばかりに囚われるのではなく、「本当にこれがベストか?」「もっと良い方法はないのか?」といったように改善のための問いは常に立てていきたいなと思いました。

③「貧しい」というのは相対的な定義である
今回、トースターをゼロから作成するという挑戦から、トースターには販売されている価格以上のコストがかかっていることがわかりました。そのコストには、金銭面だけでなく環境に対する負荷も含まれています。我々人間が便利さを享受するために環境が犠牲になっている場合があります。必要な便利さは良いとして、使えるものを捨てて頻繁に新しいものを買い替えたりするなどの必要以上の贅沢を求めることに筆者は警鐘を鳴らしています。
「なぜ人々は豊かさを求め、贅沢を好むのか」という問いが生まれてきます。その答えの一つとして「貧しいのが嫌だから」というものがありますが、「貧しい」という状態は果たして絶対的なものなのでしょうか?
人との比較を過剰に行うことで貧しさという概念が生まれているのではないかというのが筆者の考えです。身の周りにものが溢れている状態にではなく、他者との比較から自身を開放した先に本当の「豊かさ」があるのかもしれないですね。本書は、経済学とも哲学とも通づる非常に興味深い問いを投げかけてくれています。


感想・まとめ

本書は、各章がトースターの部品名になっており、収集過程が事細かに紹介されているので、非常に楽しく読み進めることができます。失礼ながら「ちょっと不真面目な本かもしれない」と軽い気持ちで読んでいましたが、読み終えてみると筆者のメッセージがきちんと自分の中に残っていることが感じられると思います。筆者は誰もやろうと思わないことを大真面目にやっていたのです。
改めて、人生の短さや一生で成し遂げられることのちっぽけさに気づくことができました。しかし、誰にだってできることはあります。私たちは人類の大きな歴史の一部を担っているのです。
“どう生きるべきか”、“自分はこの人生の中で何を成し遂げたいのか”という問いに答えるためのヒントが得られるかもしれません。どの年代の方にもオススメの一冊です(^^)/!!

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