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誕生日。私たちはなにがそんなに不安で、なにをそんなに欲しがったのか。

友人から久しぶりのLINE。
内容は、恋愛相談でした。

ざっくり言うと、誕生日のお祝いについて。
ちょっと不満とちょっと不安が混ざってるらしい。

分かる分かる。


…あぁ、そう思うと誕生日って大事なイベントだよなぁ。

ということで。

ここからは、私の結婚前の誕生日の思い出を例に、複雑な乙女心と不可思議な男心と価値観の話を進めていきます。

……

あれは29歳の誕生日。
彼と過ごす誕生日は、2度目。
でも、2度目のようで初めてのようでした。
だって、1年前の私の誕生日に付き合い始めたんですもの。

そんなロマンチックでベタな交際スタートをきったので、今年の誕生日はどう過ごすの、ねぇねぇね!と期待が高まっていた。
いや、待てよ。交際一年記念日でもあるからには、私にも企画権があるのでは?
全部彼任せってのもどうなの?
…でも…頑張りたくない…。
彼に頑張ってほしい!!!


そうして彼の誕生日企画を心待ちにしていた。


誕生日は平日。お互い仕事でした。
仕事終わりに会いに来てくれ、漁港に車を停め海を眺めた。

「週末は、お祝いしようね。どこに行く?すたみな太郎?」

え…?
すたみな太郎?

…確かにすたみな太郎は、私の住む街にはなく。
わざわざ出向かなければならない場所であってー…
お出かけ感、遠出感はあります。ありますとも!
でもさ、でもさー…。ええええーーーー!!

伝えなければ、と思った。
伝え方を迷った。


一歩間違えれば人格否定になるぞ。
危うい過激性を持っている私は「コース料理が食べたい。ナイフとフォークで食べるような。」と、精一杯可愛く言い、お店を検索し、手頃だけど手頃すぎないいい塩梅のお店を見つけて、彼に予約してもらった。
彼に予約してもらわないと心がケバケバしてしまいそうだったので、こちらから頼んだ。

こうまでしてコース料理が食べたいかこの強欲女!と思われるかもしれませんが、何も私は、モノトーンで真っ二つに区切られたお皿の上でワカサギのフリッターが上品に2匹クロスされ、その上にバルサミコでmの筆記体が描かれた現代アート的な前菜が食べたかったわけでもないです。



ただ大切に、したい。
大切に、されたい。
ただそれだけ、なんですよ。

誕生日のことは「なんだ誕生日って…、ご馳走食べるための口実じゃん!イェイイェイ」と思っているところもあるのに、それでも他人から「誕生日なんて商業戦略だからお祝いはナシね」と言われると「カナシイ」と思うものです。

彼は、こんなお店来たことない、と言ってました。
ジャケットも持ってないからスーツでいい?とスーツを着てきており、クスクスしました。
お腹いっぱいになるかなー…と一緒にワカサギ2匹を不安そうに眺めたり、このソースは何味なのよ〜、わぁお皿があったかいあったかいと、ホクホク過ごしました。

単純な話、彼にとってすたみな太郎は、このレストランと一緒。
しあわせな笑顔溢れる歓びの場所なだけなんですよね。
単純な話。

だから、彼も悪くない。
すたみな太郎も悪くない。
もちろん誰も、悪くない。

大切にしてることも違えば、
大切の表現方法だってそれぞれ違うわけで。
「高いご飯屋さんに連れてってもらう=大切にしてもらえている」って訳でもないことを十分理解していますし、イコールになればもっと簡単なのにね、とも思います。

自分がこうしてもらうと大切を感じられるんだよ、っていうのをお互いにすり合わせいく感覚でした。
言わなきゃ分かんないし言い過ぎても物足りなくなるもので、ほんと、むずかしいですよね。


いろんな大切があって。
それに向けできる努力、しない努力があって。
そのうちに穏やかに2人過ごせるのかなー、とか。


来月はそんな誕生日がきます。
夫の好きな焼肉に行こうかな、と思ってます。


・・・おまけ・・・

ちなみに、すたみな太郎を提案する夫は、めぐリズムを買って帰るとめちゃくちゃ喜びます。

大切に想っているよの代弁にめぐリズムを3ヶ月に一度くらい買います。

・・・おしまい・・・

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