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Re:Re:Re:雑音と同じ周波数

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ほんの少し、夜に触れたい。
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2020年10月の記事一覧

正義と誠意

人を憎むのはつらい。

自分の心が醜くなるのがわかるから。

人を憎むのはつらい。

憎んでもどうにもならないことをわかっているから。

それでも、「加害者」がいる遺族はその憎しみと戦わなければいけない。

殺人事件。

それと、交通事故。

その憎しみを断ち切れる人物は、他でもなく加害者なのだろう。

「ごめん」で済むなら警察はいらない。

それはそうだ。

だが、たとえ謝罪したところで世界は変

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この世はいきにくい

夏、同い年の俳優が亡くなった。

ルックスもよく、実力もあり、若い時から成功していたと思っていた人の自殺は、同い年の自分たちからしてみれば当然の動揺だ。

世間に衝撃を走らせた事件の後、友達から連絡があった。

「びっくりだよね」

それは私も驚いた。

驚いたが、どこか納得してしまう自分もいた。

「まあ、気持ちはわかる」

そう返したこの一言で友達は何を感じたのだろうか。

「奈都の作風とか、

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雑音と同じ周波数

「姉ちゃんの声ね、雑音と同じ周波数なんだって」

なんてことのない、帰省中のJRの中、同伴していた姉がなんの突拍子もなく言ってきた。

「なんかね、話してるといきなり声が消えるんだって。相手からしてみると口をパクパクとしているようにしか見えないの」

「なにそれ、そんなことあるのかよ」

姉の発言に思わず笑う。

なかなか想像しにくいが、なんて滑稽なのだろうか。

そんな姉の姿を想像するだけで笑っ

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