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東京の余裕/久しぶりの映画館・映画評「AKIRA」

東京の余裕

車が欲しい、と妻に頼み込んでいた時がありました。

最初に目をつけたのは、ドイツ車をはじめとした、外車。

「なんでこんな高いもの買う必要があるの?速度が出れば同じじゃない」

と言ってくる妻に、私はドヤ顔で反論してやりました。

「100km/hが限界の車で100km/hを出すのと、200km/h以上出せる車で100km/hを出すのでは、快適性や安定性が違うんだよ。特にドイツ車ってのは、速度無制限のアウトバーンを150km/h以上で巡航することを前提に設計されているから、そこが抜群なんだ」

だが、ドイツ車は否決され、交渉と称した嘆願は、国産コンパクトカーで良いからってところまで譲歩したのですが、受け容れられませんでした。

悲しい過去です。

思えば、妻が言いたかったことってのは、「なんで?高い」じゃなくて、「なんで?買う」だったんですなぁ・・・安ければ良いと思ってたあの時の私、まだまだ青かった。

さて、この土日は、久しぶりに外出を楽しんでみました。ひとりでも、家族でも。

まだ人出は少ない。通常の何割ほどが戻ってきているのだろうか。体感では、まだ5割も戻ってきていないような気がした。

寂しく感じると同時に ー 。

映画館の座席がひとつ空けられたり、ふだんは混んでいるであろう有名店に並ばずに入れたり、テラス席が増えていたり。

売り上げが減る店側にとっては(いずれは給料をもらう自分にとっても)、たまったものではないだろうが、利用する分には大いに快適である。

東京の人口は現在、なんと1,400万人。
それに加えて、外国人観光客も多数収容していた。

多数を受け入れることを前提につくられた都市を、5割にも満たない負担で利用すると、それこそ前述の自動車のように、安定性と快適性が違う。

だからって人口が減って欲しいとも思わないが、この感覚は、なんとかコロナ収束後でも再現して欲しいものである。

映画評「AKIRA」

そして!およそ2ヶ月半ぶりに映画館に行ってまいりました。

長かったぜ、、、。

復帰戦は!

場所は、池袋・グランドシネマサンシャイン。

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上映館は、IMAXレーザー。

作品は、4Kリマスター「AKIRA」である。

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ドゥーン!

作品の内容・あらすじは、興味がある方はどこかで検索していただくとして・・・。

私は、特段に「AKIRA」ファンというわけではない。

映画を観たのはDVDで1回こっきり。その後、漫画も読んだが、結構忘れている。IMAXでアクションシーンを堪能できれば良いかくらいの軽い気持ちで臨んだが・・・。

あれ、「AKIRA」って、こんなにキビキビしてて楽しい映画だったけか。
すげえ楽しいじゃん、これ!

事前に見比べていないので確実なことはいえないが、リマスター・IMAX・音響のおかげで、平場の「街が描かれている」ドラマシーンでも、食い入るように見入ってしまった。
無論、バイクチェイス・超能力バトル・兵器の破壊、その他アクションシーンはもちろんのことであるが、「AKIRA」って、「都市を描いた作品」だったのだと改めて気付いた。

「ブレードランナー」もどきの世界観としか思っていなかったが、誤りだった。

オープニングのバイクチェイスも、単なる導入のアクションではなく、舞台となる都市=ネオ東京を、余すところなく伝えるためのものだったのだなぁ・・・。「都市」の存在感、そこに息づく人たちの生活感が伝わってくるおかげで、様々な展開も、臨場感ばっちりに受け取ることができる。

おそらく裏設定では存在しているのだろうが、なんとなく、なんでこの建物がここに建っているか、わかるような気がする説得力がある。
それらが破壊されると、カタルシスと切迫が、同時に感じられる。
ただの都市破壊ドラマ(それはそれで好きだが)には無い、切なさだ。

話は少々変わるが、今のアメコミヒーロー映画に若干の物足りなさを感じるのはそこで、マーベル映画は置いておいても、ゴッサムシティ・メトロポリスと、作品内でオリジナルの都市を持っているDC映画ですら、都市としてのキャラクターが描けているとは思えない。
「マン・オブ・スティール」のクライマックスでは、メトロポリスがこれでもかとぐちゃぐちゃに破壊されるが、別に悲しくはないのよね、あれ。

都市設計にどれくらい力を割くかで、作品の深みががらっと変わってくるものであることを「AKIRA」に教わった気がする。

真似してみたいが・・・相当に時間・根気・労力・発想が必要になる領域である。

漫画読み直して、またきちんと鑑賞し直してみようかな。

コロナのせいで見逃したままになってしまうと危惧していたが、間に合ってよかった。

ありがとう、シネマサンシャイン。

この機会によかったらどうぞ、「AKIRA」の紹介でした。



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