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夏のさなかの仙台•青森旅行①|伊達公墓所、牛タン、ねぶた祭!

酔っぱらって楽しくなると旅行の約束をしがちだ。

昨年の富山旅行も思えば、居酒屋で宿を予約した(正確には、してもらった)のだった。普段押し込めている旅情へのあこがれを、アルコールが解き放つのか。
酔った状態での「○○行きたい~」を社交辞令と取らず、実現してくれる友人が多くて有難い。

で、今回は青森。大学時代の友人と、ねぶた祭りを目当てに行った。しかも行きしなには仙台で途中下車して、牛タンを堪能しようという贅沢旅である。うひひ。

■弾丸途中下車、仙台

そんなこんなで8月初旬、降り立ちたるは仙台駅。
新青森までの移動を考えると、2時間ちょっとで行きたいところを回らなければならない。牛タンも食べたいし伊達公にも挨拶したい。つまりは結構な弾丸プラン!
最近の旅行はあまり旅程をつめこまずゆったり過ごすことが多かったのだけれど、久しぶりにこういう「限られた時間でできるだけ見て回るぞ!」というタイプの時間が出てくると、なにやらアドレナリンが出てくる。

まずは仙台駅からバスに乗り、伊達政宗公の墓所・瑞鳳殿へ。

最寄りのバス停から少し歩くと、瑞々しい緑に飲み込まれそうな、長い石の階段が顔を出す。
その階段に足をかけた瞬間、すうっと体感温度が下がって驚いた。木陰の威力、恐るべし。木々の向こうに一般の方の墓所と思しきスペースがあった。「伊達さんと同じ場所のお墓に入る」こと、仙台市民のなかではステータスだったりするのかしら、としょうもないことを話しながら階段を登り、そろそろ息が切れてくるぞ、と思うあたりでこの光景。

緑の中にすっくと立つ、やりすぎなくらい豪華な門。解説文を読むと、彼我の世界を隔てるための門とのこと。緻密な彫りと鮮やかな色で表現された唐獅子や、牡丹や、麒麟などがびっしりと施された意匠は、塗料が貴重品だった当時の人が見たら、確かに極楽への入り口のように見えただろう。

入り口でこれなのだから、メインの瑞鳳殿はそりゃあ煌びやか。鳳凰に天女に龍に唐獅子に、ありとあらゆる吉兆がひしめく極彩色の建物を見た瞬間、山中異界、という言葉が頭に浮かんだ。山を下りた瞬間、100年くらい経っていたらどうしよう。

建物自体のインパクトの他に印象的だったのが、そこここに施された家紋だ。縦に三本線が入った家紋は見覚えがあるものだったけれど、瑞鳳殿の扉や屋根や、それを支える木組みにも、数種類の家紋が施されている。

何種類の家紋を見つけられるかな?的な写真

家臣の人の家紋とかもつけてあげてるってこと? と思いながら調べたら謎が解けた。全部伊達さんの家紋(功勲に応じていろんな人から下賜されることでどんどん増えていったらしい)。すごい人って家紋もたくさんあるんだなあ……。

ちなみに私がいちばん好きな家紋は「尻合せ三つ結び雁金」です。

どうしてそうなった感がかわいい

その後「スケート靴のような石畳」の推され方に驚いたり、

カジュアルすぎるクマへの注意喚起にビビったりしながら無事下山。

ちゃんと「現代」に戻ってこられてほっとする。
時間が押してきたので事前に調べていた牛タン屋さんまでタクシーに乗ることにしたら、運転手さんがとても良い人でおすすめのお店を教えてくれた。もともと行くつもりだったお店は平日でも並ぶ可能性が高いとのことで、教えていただいたところへ向かうことに。

決め手は運転手さんの一言、「地元の奥様方が選ぶお店」。そんなの絶対おいしいじゃないか……!

ということでどん。

わー
きゃー

厚切りの牛タン3切れにハラミとソーセージ、たっぷりのテールスープと山盛り麦飯とのセットで2,000円ちょいだったと思う。
え、安くない? 事前に調べていたお店だと、このボリュームなら4,000円近くいきそうな感じだったんだけど。さすがにこのお得感は平日ランチ限定らしいので、金曜出発の旅程を選んだ自分たちを心の中で褒める。

歯ごたえはさくっと軽快なのに噛めば噛むほど脂と旨味がしみ出してくるぶあつい牛タン、香ばしくやわらかなハラミ、ピリ辛でぎゅむっとした歯ごたえのソーセージ。それらを頬張る合間に、容赦なく辛い味噌味のお漬物(今調べたら青唐辛子の味噌漬けらしい。そりゃ辛いわ)、やさしい塩かげんの白菜浅漬け、シャキシャキのねぎたっぷりがうれしいテールスープを口に運ぶ。ああ忙しい忙しい。

そういえば上の写真、お茶碗との対比でお肉がちょっと小さく見えるかもしれないんだけど、違います、お米がマジで大量なだけです。茶碗とどんぶりどっちに近いかと言われると断然どんぶりな感じの器に盛られた、日本むかし話みたいな量の米。普段食べる量の2倍くらいは、確実にある。

こんなの食べられるかしら……と小食ぶりながら挑んだのだけれど、お肉でごはんが進みすぎて普通に食べられた。おそろしい。

苦しいくらいの満腹、大満足でお店を出た。
タクシーの運転手さんのおかげで並ばずにお昼が食べられて、新幹線の時間まではまだ少し余裕がある。
というわけで次に向かったのはこれも運転手さんのお勧めの洋菓子店、「メゾン シーラカンス」。

グレーを基調とした外装に、博物画みたいなシーラカンスのマークが不思議でおしゃれ。そういえばnoteお友達のはいはっとちゃんさんも、ここのもなかを絶賛されていた……! ということを思い出して、勝手にうれしくなる。

ちょうど帰省を控えたタイミングだったので、件のシーラカンスモナカをお土産用に購入。バターが入っているので要冷蔵だと思い込んでいたのだけれど、常温保存可かつ賞味期限もそれなりに余裕があって有難い。

ショーケースに並ぶ生菓子もうつくしく、時間があったら(あとお腹一杯じゃなかったら)桃を丸ごとひとつ使ったタルトをぜひとも食べたかった! 

モナカは大阪に帰省してから実食。

注意書きがかわいい、というのに気を取られてモナカ本体の写真は無し

滑らかで濃いこし餡に、しっかり塩気のあるバターが絡んで大変ギルティなお味。コーヒーにめちゃくちゃ合う。
我々夫婦、こういうちょっとよいお菓子はもったいながってなかなか減らなかったりする(そしていつのまにか賞味期限が切れていたりする……)のだけれど、これはもう癖になってしまって毎日のおやつどきの楽しみにしていた。
通販もできるようなので、おもたせやプレゼントなんかにもよさそう。

■初青森、初ねぶた祭

牛タンと大量の米に血糖値が爆上がりし、すやすや眠りながら新幹線で新青森へ向かう。ホテルにチェックインし、メインイベントのねぶた祭りの会場へ。

実は青森へは来ること自体初めてなのだけれど、夕方になるにつれはっきりと気温が下がっていくことに驚いた。夏の盛り、東京であれば夜じゅう蒸し暑い時期だというのに!
野外でお祭りに参加、ということで汗だくになることを覚悟していたのに、日がかげるころにはむしろちょっと肌寒いくらいの体感温度になっていた。本州最北端、すごい。

いかにもお祭りの夜らしく、街道沿いには屋台が立ち並び、臨時でテラス席を出したりテイクアウトのお惣菜やビールを販売したりしている飲食店もあって、いやおうなしにわくわくしてくる。

せっかくだからと買ってみた有料観覧席へ、おつまみとビールを調達して向かう。

ぷりっぷりのほたて串
にんにくの素揚げ(!)
明日のにおいはお互い様ねと、友人と同盟を組んで買った
ほくほくでおいしい

陽が落ちきる直前、7時ごろからいよいよお祭りが始まった。
遠くに提灯の明かりが見えて、わあっ、と思って目を凝らしたら、なんだか見覚えのある文字列。

マ、マルハニチロだ!!

マルハニチロ提灯、かわいい。ミニチュア版欲しい。

どうやらお祭りの山車(これがまさしく「ねぶた」らしい)それぞれにスポンサーがついているよう。その後も企業名が印刷された提灯がどんどん出てきて、そのたびに友人と「出た! 巨大資本!!」と言って遊んだ。社会人になったからこそできる楽しみ方。
提灯を持って歩く方の中には、その企業の社員さんもいたりするのだろうか。自分の会社の提灯持ってお祭りに出るの楽しそうだな。うちの会社も一口乗ってくれないかしら。

その後ろに控えるのは、カラフルな衣装を着けた「跳人」と呼ばれる踊り手たち。衣装をレンタルしたり買って身に着ければ、観光客でも参加できるそうで、思い思いに飛び跳ねて楽しそう。いつか参加してみたい。

そして満を持して、お待ちかねのねぶた!

緻密な曲線と色彩で形作られた鬼や武者や蛇に、張り子とは思えないくらいの質量を感じる。

びっくりしたのがその進み方。
見る前は大型の山車が練り歩くということで、要するにエレクトリカルパレード的なもの? というようなイメージを持っていた。
だから沿道をまっすぐ進んでいく様子を想像していたのだけれど、ねぶたは道路の横幅をいっぱいに使ってジグザグに練り歩く。それだけでなく、時折観覧席に向かって前面をいっぱいに引き下げ、お辞儀のような動きまでしてくれる。何メートルもあるような巨大な山車が、ぐうっと頭の上に覆いかぶさってくるのだ。その怖いくらいの迫力と、うれしさ!

こんな感じでめっちゃ傾く
ビーム出してるお釈迦様、好き

ほんとうに目の前にねぶたが来るので、それを動かす人々も自然と目に入る。笛と扇子とでねぶたの動き全体を制御する「扇子持」が格好いいのはもちろん、ねぶたが旋回するたびに猛ダッシュする外側の担ぎ手、反対に低い姿勢でぐうっと踏ん張る内側の担ぎ手につい見入ってしまう。まるで自動ですいすいと動いているように見えるねぶたの下で、息を合わせて押し、引っ張り、踏ん張り、駆け巡るひとびと。か、かっこいい。

しんがりを務めるのは、太鼓や笛、鉦を持った囃子方。太鼓役の中に時々明らかに周りと本気度の違う手首のスナップの利かせ方をした人がいて面白い(音量もぜんぜんちがう)。
いちばん印象に残っているのは後半、巨大な太鼓にまたがって演奏をしていた人。何者だったんだ……。

ただものじゃない開脚とバランス感覚

宵の口から一時間半ほど、ずうっと夢中になって見入ってしまう、良いお祭りでした。
大興奮でホテルに戻り、ちゃっかり買っていた地酒とコンビニ調達のおつまみで二次会をしてから就寝。二日目につづく。




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