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ラテン文字言語は2種類同時に勉強するほうが学習効率が高いんじゃないかな

子供の頃から英語圏の文化に興味津々で何度も英語の勉強にトライするも英語そのものにはまったくハマれず苦手意識を抱いてしまった私の風向きが変わったという話。

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1箱のタロットカードとの出会いをきっかけにスペイン語を勉強しはじめてから3年目の冬を過ごしている。Duolingoでゆるゆる勉強を毎日3年間。これはもう私の中でピアノと双璧を成す立派な趣味に育ったと言っていいんじゃないか…というわけで、スペイン語を中心とした外国語学習についてもこの場で綴っていこうと思う。

10代の頃はUSAに憧れがあり、USAのヒットチャートに上がる曲ばかり聴いていたし、メリーランド州に住む同い年の男の子と文通なんかもしていたけれど、英語そのものにはまったくハマれず、学校での成績UPにもまったく繋がらず、逆に妙な苦手意識を持ってしまうに至った。勉強したいと思うきっかけは確実に持っているのに勉強するモチベーションには繋がらないというなんともへんちくりんな状態。オトナになってもその状態は変わらず、社長がイギリス人で社員の国籍も豊かな会社に入ったこともあったがやっぱり英語にはハマれず早々に退職してしまったということもある。(退職理由とは関係ないが)

そんな私がスペイン語の勉強にはすっぽりとハマってしまった。日本語で育った人間にとって、スペイン語は英語に比べ発音がしやすく聞き取りやすいというのは広く認知されているし、実際に私も入りやすかった。時々難しい発音もあるものの、ローマ字読みが出来ればかなりの単語が覚えられる。ただし文法は英語よりもはるかに厄介で、スペイン語年齢が3歳の私はまだまだ苦戦している。動詞の活用形や冠詞の変化が多くて少しの文法知識がないと辞書やDeepLも満足に使えないし、Me gustaとかTe interesaとか日本語に直訳するとなんだか回りくどくなる言い回しや再帰動詞だの接続法だの感覚的に理解しづらい要素も多い。それでも英語のときのように苦手意識を持つことなく続けられている。覚えた語彙が増えた今でこそ「歌や音声番組を原語のままで理解できるようになりたい」とやりたいことが明確になってきたが、元々モチベーションが高い状態で始めたわけでもない。にも関わらず、だ。

ポッドキャストでスペイン語の番組を聴いていたある日、パーソナリティが説明として挟んだ英語の響きが突如泥濘のように湿っぽく聞こえて心がざわついた。これはスペイン語という比較対象が出来たからこそ得られた感覚であるのは疑いないが、これまでの英語経験とはまったく関係のない生理的なものだったことに自分でも驚いてしまった。英語への苦手意識の根源はこれかもしれない。英語音声の響きと私はそもそも波長が合わなかったんだとスペイン語音声が教えてくれたのだと思った。スペイン語の音声は明るく開放的で聴いているだけで気分が明るくなる。響きの心地良さは現実的な動機がなくても勉強を続けさせる強力なパワーがあるのだ。

以上のような体験を経て今強く思うことは、ラテン文字言語は2種類同時に勉強した方が学習効率が高いんじゃないかということだ。スタートが英語だったとしても、アルファベットを覚えて、I am a boy程度の短いフレーズが理解できるようになった段階で別のラテン文字言語の学習も開始し、英語と並行して学習を進めていくのが良いように思う。私のように英語音声が生理的にダメな場合はスペイン語メインで英語をサブとして割り切るという選択肢を持てるのは心強い。そもそもラテン文字言語とまったく構造の異なる日本語だけを用いて英語を理解しようとすること自体に無理があるのだ。英語の日本語訳を見るよりもスペイン語訳を見た方が感覚的に理解しやすいというケースも増えてきた。2種類のラテン文字言語の知識が互い補完し、双方の学習効率を高めている。現に私の英語力はスペイン語を始める前よりも上がっている実感があるし、他の言語を学ぶための読み書き専用ツールだと割り切りができたことで苦手意識も薄らいだ。(ただし音声は今後も好きになれる気がしないが)

文部科学省の報道発表「平成29年度 高等学校等における国際交流等の状況について」(令和元年)の【8 高等学校等における英語以外の外国語科目の開設状況について】(平成 30 年 5 月 1 日現在)を見たところ、英語以外のラテン文字言語を履修できる高校もまだ少ないようだ。それどころか平成19年を境に減少し続けている。高校生までに2つのラテン文字言語に触れる経験をしておくと将来の選択肢も大きく拡がるに違いないと直観を得ただけに残念でならない。今もし私に10代の子どもが居たなら、今すぐスペイン語を習わせるし、タイムマシンで過去に戻れるなら中学一年生の自分に習わせたい。私にとってスペイン語との出会いはそれくらい大きな出来事だったのだ。

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