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ヤメル講座 (12) タバコをヤメル

喫煙によるリスクを
ほんとうに知っていますか?

ほんとうにやめたい人のための“事実”

ちょっとひねくれたいい方で申し訳ないのですが、この項では、「たばこはやめたほうがいい」というおすすめは、あえて行わないことにします。
「健康に悪いのでタバコをやめましょう」と、どんなに禁煙をおすすめしたところで、そんな気持ちの少しもない人は、「やめればいいとは、もちろんわかっているけど……」「考えごとするのに必要」「ついクセでね」「ストレス発散のため」「そんな極端なこといわれたって……」など、あらゆる忠告に対して、いろんな逃げ口上を用意しているものです。
それに「やめろ」という人も、最終的に被害を被るのは本人であるだけに、あまり強くいい続ける責任を感じません。
ゆえにこの項では、ほんとうに“やめたい”人のために、その励みとなるような“恐ろしい”あるいは、“明るい”事実のみを紹介することにします。
まず、タバコの煙には4000種類以上の化学成分が含まれています。
何とそのなかで、有害と確認されている物質が200種類以上、発がん性物質は40種類近く含まれています。「ダイオキシンの可能性のある野菜を食べない!」とか「中国の食材は怖くて食べられない」「空気の悪い街は身体に悪い!」などといっている場合ではありません。ダイオキシンはもとより、毎日せっせと200種類もの発ガン性物質をはじめとする有害物を身体に染み込ませているのです。しかも、高いお金まで出して……。
このお金の面も、きちんと考えてみれば“やめる”きっかけとなるでしょう。
タバコ1箱300円とした場合の税率は、何と約63%。つまり1箱189円が税金です。これが積もり積もって、喫煙者の身からタバコ税として、合計2兆2400億円(国税+都道府県税+市町村税)が徴収されているのです。
ちなみに1日1箱吸った場合、1ヶ月で約9000円。1年で1万8000円。10年間で108万。1000CC程度の車が買えてしまいます。ファーストクラスで世界1周旅行も可能なお金です。
吸うことで起こる、恐ろしい病の数々
新鮮な空気の代わりに、せっせとタバコを吸うこと。その結果は当然のごとく、さまざまな病名となって現れてきます。
まず代表的なのは、タバコの三大病といわれる「肺がん」「喉頭がん」「肺気腫」。病名を目にしただけで、とても息苦しい思いがします。
たとえば、タバコ病の代表格「肺がん」。毎年のように増え続けるガンのなかでも、とくに急増しているのがこの病です。じわじわと肺を侵され、そして死にいたる場合も多いのです。
基本的に肺がんは、あまり早期に症状は出ません。日ごろ、タバコを吸ってケホケホ、コホコホと咳込んでいるうちに、気づいたときにはかなり進行している場合が多く、症状としては、咳(せき)や痰(たん)。しかし、この程度の症状なら、愛煙家であればまず間違いなく自覚がある症状です。それどころか毎朝、洗面台に向かって「うげーっ」と、吐き気をともなう定番儀式をしているくらいがあたり前。咳や痰など気にするような現象でさえありません。そのため、健康診断や病院で異常を指摘され、やっとのことで気づくことにもなります。
ところが残念なことに、そのときには手遅れになっている場合も多く、ほかには、血痰、胸の痛みや腕の痛み、それに顔の腫(は)れなどの症状もあります。みなさんのなかにも、似かよった症状の人がいるのでは? ガンとまではいかなくとも、それにいたる過程の病気に慢性的にかかっている可能性は大きいかもしれません。
そして、「肺気腫」や「喉頭がん」。空気の代わりに、タバコの煙を吸い込むことが大きな原因になっているといわれる病気です。肺のなかに、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出、要は呼吸の根底を司(つかさど)る機関である肺胞が、喫煙によって少しずつ破壊され、虫喰い状態になっていくのです。
その結果、少しずつ真綿で締められるように、呼吸が苦しく困難になってきます。考えただけでも息苦しい! とくに中年以上の人で、階段の上がり下がりが苦しくなり、息切れなどを起こすような症状が目立ちはじめたら、要注意とのことです。
さらに喫煙は、味覚や嗅覚の減退、胎児死亡、および病気の増加(母親が使用した場合)、狭心症、心臓発作などとの関連も高いといわれています。
このような自らの身体を痛める病気以外にも、喫煙するがゆえのマイナスは多々あります。たとえば、公共機関・交通機関では、喫煙者のためのエリアは年々確実に減少しています。
飛行機はほとんど100%禁煙。新幹線なども、わずか数両のみが喫煙可能な座席となっています。喫煙者は、限られたスペースに身を寄せ合ってタバコを吸っています。その車輌の空気の悪さといったら、どんなに無関心な人でも、「さすがにこれは身体に悪い」と思わせるに充分な凄まじさです。
職場においても、喫煙の権利は風前のともし火。賃貸の部屋を借りたときでも、いざ引っ越しとなれば壁の張り替えなど、喫煙者の部屋は間違いなく、敷金の満額を徴収されます。
さて、マイナーな話ばかりでタバコをやめる前からお疲れになってしまった人のために、ここでちょっと前向きな話を……。「タバコを吸わない人のための保険」について紹介しましょう。
これは、喫煙の有無と健康状態によって、保険料が安くなるというもの。ある保険会社では、血圧や体格(肥満の程度)などが基準値以内で、しかも非喫煙であれば、2割~4割程度も保険料が割引されます。毎月2万円払っていた人なら、4000円~8000円が即座に得になるのです(一定期間以上喫煙していない人が対象です)。
リスクを負ってまで吸うべきか?
こうした数々の病を、高い確率で引き起こす元凶になっているタバコですが、その認識がもうひとつ甘いのは、世のなかで行なわれている“警告”の甘さも、原因の1つになっているのではないでしょうか。
日本のタバコのパッケージには、
 
「喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。疫学的な推計によると、喫煙者は肺がんにより死亡する危険性が非喫煙者に比べて約2倍から4倍高くなります」
「喫煙は、あなたにとって心筋梗塞の危険性を高めます。疫学的な推計によると、喫煙者は心筋梗塞により死亡する危険性が非喫煙者に比べて約1・7倍高くなります」
 
といった表示がなされています(複数の表示内容項目があります)。一見、とても良心的な表示にも見えますが、世界の状況と比較してみると、いかに甘い表現かがわかります。曰(いわ)く、
 
「喫煙は死に至る/喫煙は死に至るおそれがある」
「喫煙は致命的な肺がんの原因になる」
「子供を守れ:あなたの煙を子供に吸わせるな」
「喫煙はゆっくりとした苦痛に満ちた死の原因になるおそれがある」
 
日本の「とりあえず統計があるので、客観的なデータとして載せてみました!」的なものではなく、タバコを吸った結果としておとずれる悲惨な状況を、こと細かに説明しているような言葉が並んでいます。
最後にとどめとして、タバコが最大の原因といわれている「肺がん」で亡くなられている人を列挙してみましょう。俳優の川谷拓三さん、作家の開高健さん、五味康祐さん、松本清張(さん、柴田錬三郎さん、藤原伊織さん。指揮者の岩城宏之さん、そして、植木等さん、など多くの素晴らしい方々が、惜しくもこの世を去っていきました。
合掌!
 


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