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読書記録「The Importance of Being Earnest」オスカー・ワイルド著

Oscar Wild
Samuel French
1980

オスカー・ワイルドの喜劇。舞台での初演は1895年。
英語版の無料公開あり。

最後は大団円で終わる、最後まで楽しい一冊。

邦訳は"真面目が肝心"。
"earnest"はCambridge Dictionaryでは以下のように定義されている。単に勤勉というだけでなく真面目すぎる、という感じ。

serious and determined, especially too serious and unable to find your own actions funny

元のタイトルは物語のキーとなる名前のアーネスト(Earnest)と単語としての"earnest"をかけているが、訳にそれを反映させるのは難しい。
2002年には映画化もされており、そのタイトルは「アーネスト式プロポーズ」。このタイトルのほうが内容に合っているかもしれない。

(以下ネタバレ含む)

面白いのはオスカー・ワイルドの作り出した"ベンバリー"という造語。
アルジャーノンは面倒な予定から逃れて自分の時間を楽しむために架空の病弱な友人、ベンバリーを創り上げ言い訳に使っている。そしてそれを"ベンバリーする"と名付けている。
アルジャーノンの友人であるジャックもまた、ロンドンでの華やかな生活を楽しむために架空の弟、アーネストの名を使っている。
アルジャーノンの言葉でいえば、ふたりとも自分の都合で物事をでっちあげる"ベンバリー主義者(Bunburyist)"だということだ。

Algernon: One has a right to Bunbury anywhere one chooses.  Every serious Bunburyist knows that.
Jack: Serious Bunburyist! Good heavens!

そしてジャックが都合よく使っていた"アーネスト"という名前が混乱を引き起こしていく。
2人がそれぞれ思いを寄せるグウェンドレンもセシリーは、アーネストという名前の人と結婚することにこだわっていたのだ。

アルジャーノンのちょっとポッシュなキャラクターも面白いが、グウェンドレンもセシリーもインパクトのあるキャラクター。
セシリーは会ったこともないジャックの架空の弟アーネストに思いを寄せており、日記にアーネストからプロポーズされたことや婚約を取り消したことなどを綴っている。
結婚するために洗礼を受け直す(?)ことまでしようとするジャックもアルジャーノンの2人。

アルジャーノンと、そのの伯母でグウェンドレンの母のブラックネル夫人は映像で見たらちょっとイライラするキャラクターかも。

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