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読書記録「Northanger Abbey」ジェイン・オースティン著

Jane Austin
E-books Dictionary

出版は他の作品のほうが早かったものの、実質的な第一作であるノーサンガー・アビー。
他の作品よりちょっと滑稽な、喜劇的作品とされる。

ちくま文庫から出ている中野康司翻訳のレビューが高めなので、翻訳版を読んだ方が楽しめるのかもしれない。

ちくま文庫から出ている邦訳もそのままノーサンガー・アビー。
ダウントン・アビーでも出てくる“abbey”は大邸宅。
修道院の建物のことだが、修道院であった建物を貴族や富豪が購入し、住居とする例があったことから大邸宅を指す。

小説は多くは読まないのであくまで読んで感じた印象だが、構成など全体的に気になるところが多かった。
例えば”私達のヒロインは~”といったような表現が各章の冒頭に多く見られる。中盤そういう表現がなくなったなあと思ったら最後にまた出てくる。
タイトルから想像するのとは違い、最初の3分の2ほどはバースでの出来事。

バースで仲良くなるイサベラ。
こういう女の人いるよなあと思いつつ、それに流されるキャサリンにちょっとイライラ。

ノーサンガー・アビーへ向かってからはゴシック小説にはまっているキャサリンの妄想が爆発。行く途中にキャサリンをからかって妄想を刺激するようなことを言ったことも原因だと思う。
結構なページ数で繰り広げられるこの妄想は、当時のゴシック小説への批判なのだろうが、読んでいて長すぎた。

あくまで個人的な好みだが、ヘンリーがあまり好きになれなかった。
兄のフレデリックの浮気のようなものも容認するし、男なら好きな女性が他の男性に言い寄られて嫌な気はしない、などと言う。

No men is offended by another man's admiration of the woman he loves; it is the woman only who can make it a torment.

(以下ネタバレ含む。)

最後は一気に結末へと向かう。
出来ればキャサリンとヘンリーのやりとりを台詞で入れてほしかった。
キャサリンを金持ちだと思い込み、歓待し、そうでないと分かった途端に追い出したティルニー将軍だったが、貴族と結婚したエレノアに頼まれて2人の結婚を快諾。
このあたりの現実的なエンディングは悪くなかったと思う。

『ノーサンガーアビー』とジェインオースティン 金子弥生

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