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Allbirdsの個性豊かな天然素材たち

前回はAllbirdsの2025年までのサステナブル戦略に関する具体的なアプローチについて言及した。

アプローチとして、測定削減オフセットの3ステップを取り入れることによって、定量的なカーボンフットプリントの削減に努めている。
今回は再生可能素材について言及するが、その前になぜそこに着目しているのかおさらいしよう。

最大の理由は、そもそもスポーツで使用されるシューズやアパレルの主要材料がポリエステルやナイロンといった石油由来の素材であるからだ。

そこで、Allbirdsはシューズやアパレル向けの天然素材の模索と開発にフォーカスし、あらゆる画期的な天然素材をシューズやアパレルで表現している。それでは、時系列にその道筋を見てみよう。

メリノウール

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メリノウールはAllbirdsの代表的な素材であり、2016年にAllbirdsプロダクト第1号あるWool Runnersをリリースした。
メリノウールは通気性耐久性に優れた再生可能な天然繊維である。
Allbirdsはウールの原産国だけでなく、羊が誰にどのように飼育され、その土地がどのように管理されているかも把握するようにしている。また、ZQ認証ウールを提供してくれる農家と長期的な関係と契約を結んでいる。

ツリー

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Allbirdsは軽量かつ通気性のあるユーカリ由来繊維であるテンセル™リヨセルを2018年にFSC認証シューズであるTree Runnersをリリースした。ユーカリの木は非常に効率よくカーボンを吸収するという特性がある。
ちなみに、先日僭越ながら購入させていただいたスニーカーはこれである。

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SweetFoam™

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実はシューズにとって鬼門であるのがソールの代替素材である。ご自身の持っているスポーツシューズやスニーカーを見ての通り、EVAを中心とした石油由来の素材が大半であるからだ。よって、アッパーと比べてハードルが高い領域であるといえる。
Allbirdsはソールの自社開発を行い、2018年にサトウキビ由来のミッドソール素材であるSweetFoam™をシューズに搭載した。
サトウキビは成長と共に効率よくカーボンを吸収す
る特性があり、雨水のみを必要とする完全に再生可能な素材である。
従来ソールに使用される石油由来のEVAは1トン製造するごとに2.8トンのCO2eが排出されるが、SweetFoam™に含まれる環境配慮型EVAは、1トン製造するごとに1.2トンのCO2eを逆に吸収しているそうだ。この技術は2018年にTIMEマガジンによってその年の最も優れた発明に認定された。
ちなみに、先日僭越ながら購入させていただいたスニーカーのソールにもこの技術が搭載されている。

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Trino™ / TrinoXO™

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Trino™は先述のユーカリ繊維をZQメリノウールと組み合わせた素材であり、主にアパレルに使用されている。

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このTrino™をズワイガニの殻から抽出されるキトサンという天然由来の繊維を加えることによって、さらに進化をさせている。キトサンを加えることによって、防臭効果を高めている。通常、防臭効果は消臭剤によく使われている亜鉛や銀が主流であるが、天然素材で実現している。また、繊維の品質も長持ちするのため、洗濯と乾燥の頻度も少なく済み、結果として製品寿命までのカーボンフットプリントを削減することを可能にしている。

これら以外にも、このような素材を用いて環境配慮に努めている。

リサイクルボトル

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1本のリサイクルプラスチックボトルから1組のAllbirdsシューレースが作製されている。

ヒマシ油

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インソール(中敷き)のクッション性を向上する特性がある。

バイオTPU

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Allbirdsシューズのアイレット(シューレースの穴)は植物中の糖分を吸収する微生物から作製されている。

パッケージング

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Allbirdsはパッケージングにも環境への配慮を欠かすことはない。使用後もリサイクルでき、追跡できるリサイクル材料、FSC認証リサイクルダンボール、大豆由来インクを使用している。同時に、使い捨てプラスチックバッグやバイオプラスチックを避ける取り組みを行なっている。

ここまで再生可能素材を使用する意義や特性について言及したが、やはり課題もある。
天然素材はポリエステルやナイロンと比べて耐久性が低いことが挙げられる。耐久性を優先させる場合、バージン(未使用)ではなく、リサイクルポリエステル等を使用することで、ベースとなる天然素材を強化している。

それにしても、この短期間でこれだけの種類の天然素材を開発し、世に送り出したことは称賛に値する。

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