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粗食に塩

引っ越してからめっきり食が細くなってしまった。理由は分かっていて、コンロがないから大層な料理をしなくなったからだと思う。
うちにはコンロがない。前の家では据置のコンロを使っていたから、引っ越しに際して新調しなきゃならない。電気屋で買ったコンロを胸に抱えながら、地下鉄に乗って家まで帰るシーンなんか想像できない。そんなわけで、いつか買おういつか買おうと思いながら二ヶ月余りが経ってしまった。一度も使われていないキッチンのガスの元栓は、飼い主のいなくなった子犬みたく寂しそうに首をもたげている。

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基本はナマ物、加熱が必要なものはレンチンしている。
昨日は白米。細切れにしたナスに醤油、みりん、砂糖をぶっかけてレンチンしたやつ。きゅうりに塩。以上。
これがまた最高に美味しい。調味料をかけただけ。下処理ゼロ。これで十分。
食事なんてこんなもんでいいのだと思うと、気が楽になる。
生活に無理がなくなる。

話は変わって。大分のばあちゃんから大量の野菜が届いた。
ダンボールいっぱいのジャガイモ、タマネギ、トマト、スナップエンドウ。
中でも塩トマトがべらぼうにうまい。トマトに塩をぶっかけただけの料理(料理なのか?)。大分の潮風と太陽と大地を感じる。
野菜を食べて景色が見えたのは初めてだった。

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また別の日、スナップエンドウの食べ方がイマイチわからなかったので、実家にかえる用があったので持って帰った。うまいこと料理してもらうことにした。
茹でたスナップエンドウに塩とごま油と、ひとつまみの味の素。
はちゃめちゃにうまい。スナップエンドウの爽やかな歯応えと、調味料の暴力的な旨味成分。
無限に食える。ジャンキーになりそう。

米に野菜で十分。余計な調理はいらない。調味料は基本塩。贅沢を言えば、醤油、ごま油、味の素などなど。これだけで十分。

今日は何食べようか。

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