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【小説】秀頼と家康の会見④

【小説】秀頼と家康の会見④

漆黒の僧衣を身にまとい、その僧は頭を抱えていた。その体は小刻みに震えていた。くしゃくしゃに搔き上げる髪はもうなく、手のひらの感触がまっすぐに頭に伝えられた。

僧の名を天海という。後の世、徳川家康のブレーンとしてその幕府創世記の礎を築いたと言われる。しかし、人目に出ることはなく、晩年は日光東照宮の住職となり、徳川家の菩提を守り続けた。

世に出ることが出来ない理由は一つであった。彼の正体を明智光秀

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