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【錆びて動かなかったこころの秒針… ① 】

私の目の前に
後ろ姿の小さな女の子がいる。

うわぁ…
すっごく綺麗…

ゴム?
ピン?何だろう?

わたしは
こころの中でそうつぶやいた。


女の子の髪の毛は
太陽の光に当たり
とってもキラキラと輝いていた。


少し遠くからでも
ハッキリと分かるぐらい
綺麗な輝きを放っていた。


わたしは
そのきれいな輝きに
一瞬で釘付けになった。


昔から
わたしは頭で考えるより
先に口が動いてしまうタイプで
数え切れないほどの失敗をしてきた。

性格だから仕方がないか…

だって
口が勝手に動いてしまうんだもん
いつもそうやって言い訳ばかりしてきた。

そして
喋った後はいつも1人反省会をして
それもわかっているはずなのに


この日も相変わらず
考えなしで話すわたしがそこにいた。

まるで無邪気な子供のように
目をキラキラさせて
女のコのお母さんに話しかける。


「髪ゴムですか?すっごくかわいいです」

高鳴る鼓動と
なんとも言えない高揚感をわたしは感じていた。


わたしの感情は
既にピークに達していた。


そして
鼻息も伝わっていたと思う。


漫画でいうと
鼻から“ふぅん!”
それぐらい
わたしは興奮していたと思う。


あちゃっ…
またやっしまった…。


また
変な目で見られるなあ…
そう感じた瞬間


誰が見ても綺麗だと思うそのお母さんは
優しい笑顔と口調でわたしにこう言った。

「今度作ってみる?」

えっ???

いいの?

わたしは即答した。

「いいんですか?
とっても嬉しいです」

「ありがとうございます」

わたしは
早くに結婚をして
ずっと子育てしかしてこなかった。


そんなわたしにとって
この瞬間は
それはそれは
久し振りに感じたワクワク感だった。


そして
いつもと変わらないはずの日常が
この瞬間から変わり始めたのだ。

それと同時に
わたしの中で錆びてカチカチに固まっていた
こころの秒針が
“カチっ”と動きだしたのを
身体全体で感じていた。

つづく…



読んでくれてありがとう。“なみ”
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