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“救い”

長野県の善光寺から「びんずる尊者像」が盗まれるという事件がありました。
現在は無事にお寺に戻ったようで、胸をなで下ろしました。

ニュースを見ながら思い出したのは、
童話『幸福の王子』でした。

町の広場につくられた「幸福な王子」の像は、飢えに苦しむ町の人々を救うために、宝石が埋め込まれている自分の目や、体の金箔を、人々に分け与えます。
その場を離れることができない王子の代わりに、南に飛び立つはずだったツバメが街の中を飛び回り、人々に宝石や金箔を運ぶ役目を果たします。

王子とツバメのお陰で、飢えに苦しんでいた人々は命をつなぐことができました。

そうしてぼろぼろになった王子と、南に渡らず冬を迎えたツバメは......


このお話は、初めて読んだ小さい頃、衝撃を受けたお話でした。
悲しくて、胸がつぶれるような感覚になった覚えがあります。

どんな結末を迎えるのか、ぜひ絵本を読んでいただければと思います。


自分の身を削って、目の前の人を救おうとする「幸福の王子」の姿が、「びんずる尊者像」に重なりました。

「びんずる尊者像」は、撫でられすぎてお顔も削れてしまっていますが、それだけ多くの人々の願いを聞き入れ、救っていただいた証です。


いつも、どこかで見ていらっしゃる。
私たちを、守ってくださっている。

神社の落書き、お賽銭の持ち逃げ、仏像の盗難、今までにもさまざまな事件がありました。
悲しくなるような行いを、もう目にすることがありませんように。




2023.04.08 朝


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