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4年を経て、アメリカ②

飛行機の中というのは不思議な空間です。
僕は実家の北海道に帰る時はいつも飛行機を使うので乗ること自体には慣れていますが、国際線というのは独特の雰囲気、不思議な空間だなといつも感じます。
エコノミーなので窮屈な空間です。決して快適な空間ではありません。
ただただ「ゴーッ」という低い音のノイズの中で眠気を感じつつもゆっくり眠れずかと言って覚醒もし切れない。そんな時間が10時間以上も続く。
暇つぶしに本を何冊も用意したり聴きたい音楽を用意したり映画を観ようと準備もしますが、いつもほとんど消化することはありません。では何をしているのかというと自分の頭の中に浮かんでくる無数のイメージや記憶、言葉などの洪水に溺れているのです。まとまった考え事などもできません。静かではないけど静寂もあり、落ち着かないのに穏やかだったり。本当に不思議です。僕はいつもそんな時間と空間を楽しんでいます。持ち込んだ本やノートの重さが無駄になるだけなのですが。

薄暗い機内で奇妙な食事をとりながら後何時間、後何キロ、と考えているうちにデトロイトに到着しました。2015年に最初のレコーディングでアメリカに行った時もデトロイトで乗り換えました。それ以来のデトロイト空港。
入国審査の列に並んだ時、人が少ないなと感じました。前に来た時は何十分も待たされたことを考えるとスムーズでした。入国についての質問に受け答えをする時、「ああ、久しぶりに英語を聞いて喋っている」と何だか自分に笑いそうになりました。相変わらず上手く喋ることはできませんでしたが何回も言い換えながら話しました。スムーズに通過した後は懐かしのデトロイト空港でした。空港の中を電車が走っています。ああ、アメリカに来たなあと実感しました。
水を買いました。ペットボトル3本で15ドル。約2300円。
コーヒーを買いました。3杯で15ドル。約2300円。
恐ろしい世界になったものです。
バッファロー行きの乗り換えまでの待ち時間は8時間。いつものことですが、長い。ただ僕は空港の待ち時間は好きです。何時間待ってもそれほど苦痛を感じません。むしろリラックスしてのんびり過ごしていました。うたた寝したりぼんやり景色を眺めたり。充実した時間を過ごしました。
お腹は空いていましたが食事をする気にはとてもなりませんでした。コンビニのようなサンドイッチのレベルで17ドル、18ドルもするのですから買う気もなくなりました。インフレと通貨安をしっかりと体験することができました。
夜10時半を過ぎる頃、やっとバッファロー行きの便に乗り込みました。11時前に離陸。五大湖の上を飛びながら1時間ほどでバッファロー空港に到着しました。目をつむっても歩けるような場所です。ああ、懐かしいなあ!と嬉しくなりました。スーツケースを受け取り、市街にある宿に向かいます。またここで何年ぶりかでUberのアプリを起動しました。ここでも物価の上昇をしっかり体験できました。以前は15ドルほどでしたが倍ほどの値段になっていました。やれやれ。
久しぶりのUberにも緊張。とにかく何から何まで久しぶりだったのでいちいち緊張していました。平日の深夜12時半ごろだったので道はガラガラですぐに宿に着きました。向かう途中の高速道路も懐かしい。ツアーで何度も通った道でした。
宿は以前住んでいた場所の近く。1時前にAirbnbの宿に到着。戻ってきたなあという鑑賞に浸る間もなく電子ロックを開けてチェックイン。ここまで来てやっと安心できました!着いた!無事着いた!やっと眠れる!
とりあえず空腹を満たすために持ってきたインスタントラーメンを食べました。袋麺は偉大な食料です。部屋は3人で過ごすには十分すぎる広さの良い場所でした。くたくたのまま最初の日の夜はほぼ明け方まで起きていました。

続く



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