見出し画像

『私の知らないわたしの素顔』

SNSでプロフを偽り、若い男性と恋に落ちる50代のクレール(ビノシュ)。

イタい女性のお話しだと思ってたら、そんな単純なお話しじゃなかった。流石、フランス映画!

色んな角度から物語を見る事が出来る、スリリングなサスペンスでハーレクインロマンスでもあり、地味だけどとにかくもう衝撃的。

フランス映画ってド派手なパフォーマンスはないけれど、人間の問題を淡々とメタ的に見せてくれるイメージがあって若いときは理解できなかったけど、年齢を重ねて人生の経験値が上がると深い理解ができるようになって面白いんですよね。人間の業の深さとか傲慢さとかを見せられるとダメージ喰らうんだけど、人間ってそういうとこあるよね〜って反省したり、笑ってみたり。

この映画の中で私が印象に残ったシーンは、

「大人だって優しくされたい」

と告白するクレール。

このビノシュの演技には一瞬で涙が溢れちゃいました。大人だって泣きじゃくりたい時あるよね。

大人だから、こうあらねばならない

という世間の風潮や固定概念に抗う、強いメッセージを感じました。

あと、クレールが友人達との食事会で、うんと年下の男と付き合ってると言ったら、男友達から"クーガー女"って呼ばれるんだけど、「じゃあ、うんと年下の女と付き合ってる男は何て呼ぶの?」って聞いたら"それはただの男だ"って返ってくるシーン。

ジェンダー平等が進むフランスで、男性に対してチクリと針を刺すようなシニカルさがなんとも痛快でした。


トークイベント付き上映で、配給会社の方と奇跡の62歳!美的GRAND編集長 天野佳代子さんを迎えて、映画の中の細かいディテールなども聞けて凄く楽しかったです。お2人のラストの見解がポジティブで、私は全く逆の感想だったので、そこも意外で良かった。

しかもLAURA MERCIERのプライマーのお土産まで貰えてお得でした。ふふ。

2020.1.25

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?