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中学生に「プログラミングで社会課題の解決考えて」って言ったら、全員考えられた話

前回に続きmicro:bitで社会課題の解決の授業のお話です。

この授業のことをちょっとだけお話しする機会があった時に、「今の中学生って社会課題の解決ってお題を出されたら、みんな考えられるんですね。すごいなぁ」といっていただきました。ありがとうございます。

たぶん、ESDとかSDGsとか小学校の時から取り組んでいることも多いのかなぁと思い生徒たちに尋ねてみました。すると確かにそういう学びの体験をした生徒たちもいるのですが意外と少数派。うちの学校に入学してから、先輩たちが取り組んでいるのをちょいちょい聞いていて知っていた模様でした。

多分知っていなくてもできるんだろうなぁと思います。Z世代とか呼ばれる彼女ら彼らですが、私が教員なりたての2000年ごろと比較して、明らかに社会的課題への感度や行動力が増していますので。

だから、「自分たちが解決したい社会的課題について考えよう」という問いは、中学生に対して設定してよい問いです。ただ、ここでいっちばん気を付けるべきなのは、この問いをどう目の前の生徒たちに「取り組もう!」と思えるように提示するのかという学びへの「背中押し」です。それは目の前の生徒たちと向き合っている先生にしかできないことです。AIじゃ無理。

わたしがよくやっているのは次の2つ

与えられた課題にまじめに考えて取り組む生徒は、まずはちょっと考えてもらってから、「誰でも思いつくこと、webで検索すれば出てくるようなこと、じゃなくて何か君しか思いつけないようなことを思いつくといいなぁ」と、思考の飛躍を期待する声かけをします。

なかなか課題に取り組みにくい生徒や、つい遊んでしまう生徒には、個別に声をかけますが、みんなでアイディア出ししてたくさん出てきた社会的課題から「選んでもらう」ことで取り組みやすくなることもありますので、両方やってます。「選べる」って少しうれしい気持ちになりますから。

ともあれ、中学2年生の考えた社会的課題と解決の方法をいくつかご紹介します。


解決する課題、または実現すること
 近年、ペットボトルの使用量が多く、それに伴ってペットボトルを捨てる量も増えていることは深刻な問題となっている。そこで自分がペットボトルを捨てた回数がわかるようにした。ゴミ箱の蓋に取り付け、ごみ箱が開くと、ロゴが上になるので変数が表示されるようにした。

上記は誰(なに)にどう役立つのか?
 ペットボトルを使用するすべての人に。
 自分の捨てた回数が分かれば、自分の使用量の多さに気づき、自然と使用を抑えられると考えた。
また、それにより、ペットボトルの捨てられる量が増えたことによる環境汚染等の解決にも役立つと思った。

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工夫したこと
 10回ごとに音を鳴らすことで、使いすぎていることが視覚以外からもわかり、意識が向きやすいと思った。そのために、変数を10でわったあまりが0の時音を鳴らす、というブロックを置いた。

この学びから得られた、能力や態度や、今後の展望
 なかなか思い通りの動作をしなかったり、何かを修正してうまくいくと、もともとうまくいっていた部分が動かなくなったりした。その時、なぜそうなったのか、どうすればうまくいくかということを論理的に考えることでだんだんできるようになった。プログラミングをはじめとして、何事も根拠のある思考をすることが大切だと思った。今後もプログラミングに限らず、根拠をあげること、論理的に考えることを大事にしたい。


解決する課題、または実現すること
高齢者の熱中症問題 高齢者の災害時の避難 HELPの表示 高齢者の転倒した時の救助の4つを鞄にマイクロビットを入れることで対策する。


上記は誰(なに)にどう役立つのか?
・事前に高齢者の方々に今何度か知ってもらって熱中症を防ぐことで高齢者を助けられて医療従事者の仕事量を減らせる。
・音を鳴らす機械つけることで救助時に発見が早くなる
・Helpと画像で知らせることで耳が悪い人やしゃべりにくい人でも助けを求められる
・高齢者が転倒した際に警報が鳴り高齢者を助けるのが早くなる

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工夫したこと
誰でも使えるようになるべく簡単な操作でできるようにした。
聞き分けがつくように音をすべて別の音にした
高齢者の立場になって考えた


この学びから得られた、能力や態度や、今後の展望
プログラミングでしたいことを表現できるようになった。
高齢者の立場で考えるなど想像力がついた。
今後はより複雑なプログラミングをしていきたい


解決する課題、または実現すること
自転車盗難防止、商品の盗難防止

上記は誰(なに)にどう役立つのか?
店の人、自転車ご利用の方

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工夫したこと
できるだけ危険なメロディーになるように工夫した。
このようにすることで、自転車盗難が減らせると思う。

この学びから得られた、能力や態度や、今後の展望
今後、microbitを使うことによって、犯罪件数を減らせることができると思う。
この学びから、プログラムを自分で考えるということができた。


解決する課題、または実現すること
高齢者や障がい者などの在宅介護の負担を軽減する
・気温が20度以上30度以下でなければ無線でもう片方のmicro:bitに無線を送信し危険を知らせる
・micro:bitを使って一部のやりとりをする。また、不測の事態に備える。
・プログラムによってスケジュールを管理する。

上記の「1」は誰(なに)にどう役立つのか?
在宅介護の現場において、上記のことを実現することで不測の事態に備えるだけでなく、要介護者が認知症などの場合、無線を使いコミュニケーションをすることで、介護者と要介護者の精神的負担を軽減できる。また、プログラムによってスケジュールを管理し、介護を中心とした生活を送る介護者の時間を作れるようにする。

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工夫したこと
文字列や数値を受信した際、受信したことに気付けるようLEDを点滅させ、音を鳴らして知らせるようにした。また、「落とした時、文字列を送信」というプログラムを行い、不測の事態にも対応できるようにした。

この学びから得られた、能力や態度や、今後の展望
今回の学習から物作りによって様々なことを変えていけるのではないかということを実感することができた。しかし、今回作ったプログラムは精神的負担を軽減するためのものだが、効果が明確でなく、介護における介護者の身体的負担を軽減することはできない。今後、このプログラムをロボットなどと組み合わすことができればより在宅介護を快適に行うことができると思う。


生徒たちのこういう活動を目の当たりにするのは、ほんとうにうれしいものです。

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