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鹿児島市シティプロモーション事業が、市民を巻き込んだお祭り騒ぎだった件〜コンセプトの「PLAY CITY DAYS!」は単純シンプルだけど、深い。〜

こんばんは!ゆずです。
"調剤薬局の地域交流拠点化”のため、東京から鹿児島にインターンに来ています。4ヶ月の限定移住です。

企てもぼちぼちスタートし、それはまた今度で(なんでやねん)
noteもぼちぼち更新していきまっせ〜

今日は、鹿児島市シティプロモーション事業の報告会に参加して来ました。
シティプロモーション事業といっても、地域の観光資源や商品に新しいコンセプトを打ち出したり、ゆるキャラを使ったりと切り口は様々だと思うのですが、

今回は市民主体のシティプロモーション戦略事例として行政の広報担当者にとってはもちろん
行政提案型協働事業なんかで企画提案するプランナーに対しても、すんごい参考になる要素が盛り込まれていたし、
且つ、この取り組み自体の今後の広がりに可能性を感じたので 、
学びを血肉に変えるnoteを書きたいと思います。

1.  2019年鹿児島市シティプロモーション事業「PLAY CITY DAYS!」
2.  「PLAY CITY DAYS!」の企画実施におけるしゅごい!ところ2つ
3.  地方にて、市民を巻き込み活動を広げていく際のポイント


1. 2019年鹿児島市シティプロモーション事業「PLAY CITY DAYS!」


このプロジェクトの概要は、
鹿児島市民からの100名を超える参加者を募り、約4ヶ月の活動期間の中で、テーマごとにチームを組み、活動・動画制作を行うことで、鹿児島市の魅力を発見・発信していこうぜ!という趣旨です。

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(参考)https://www.ten-lab.org/project/play-city-days/

今日はその報告会で、計17チームの活動報告が行われました。
各チームはそれぞれ3分の持ち時間で、活動及び制作動画の発表を行い、
審査委員(PLAY CITY DAYS!プロジェクト責任者/鹿児島広報戦略室室長など)による講評の元、来場者が投票し最もPLAY CITYだったチームに賞が贈られる、という流れでした。

それぞれの発表の様子はこんな感じ。

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活動テーマはとにかく多彩で、
「磯で遊ぶ」をテーマに、桜島を眺められる磯でこたつパーティーしていたり
「名山町まち歩き」をテーマに、名山町というスポットをまち歩きしてマップを制作していたり
「桜島大根」をテーマに、大根をボウル型にくり抜いてサラダボウルパーリーをしていたり
「フラッシュモブ」をテーマに、突如会場でフラッシュモブが始まったり
もはや、多彩というか自由でしたwww

wwwと書いていますが、これがまたすごい状況なんですよね。
通常であれば「なにその企画…」みたいな本当に思いつきのアイデアでもこの場所だったら言える、何でもして大丈夫。みたいな
参加者にとって、心理的安全性と安心が担保されている場ということです。

一体全体、どうやってこのようなプロジェクト・参加者の雰囲気づくりに成功したのでしょーか!だって、行政の事業ですよ。

ということで、こういった様子を皮切りに、
市民主体のプロモーション戦略である、鹿児島市2019年シティプロモーション事業「PLAY CITY DAYS!」を解剖しました。


2. 「PLAY CITY DAYS!」の企画・実施におけるしゅごいところ2つ

特に今回の取り組みの企画実施おいてすんごーい点は、

・約130人の参加者のうち、学生(高・大学生)〜社会人まで幅広い層を取り囲むことができていること
・企画〜実施〜報告会までの4ヶ月間の参加者の熱量の高さと全体の離脱率の低さ

だと考えています。上からみていきましょ〜う!


約130人の参加者のうち、学生(高・大学生)〜社会人まで幅広い層を取り囲むことができていること

いや〜すごいです。
何がすごいって、行政の事業という肩書きを持ちながら、しかも、4ヶ月という結構な期間を要するプロジェクトでありながら、この約130名という参加者数。

何かしら事を起こす際には、まず集客という壁が立ちはだかりますが、難なくクリアーしています。今回その成功要因は主に
①コンセプトの秀逸さ
②活動参加者の負担軽減
③情報設計の工夫

じゃないでしょうか。

①コンセプトの秀逸さ

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「PLAY CITY DAYS!」と聞いた時、どう思いました?
めっちゃ普通やん。とか思った人いませんか。
私はぶっちゃけ、この名前について何の違和感も持たず、(ふ〜ん、まちで遊ぶ。楽しいことしよう!みたいな感じかな)
という印象でした。

これも、ある意味成功ですよね。
私のようなプロジェクト外の一般市民にとって、説明いらず、
コンセプトを読んだだけで何をやりたい団体・人たちなのか分かる。

という点もあるのですが、今回は
このプロジェクト初見の参加者視点で考えた時に秀逸だ〜と思っていて
・”PLAY(遊ぶ)”というキーワードに対して感じる、「ワクワク」「ハードルの低さ」
・"CITY(街)"というキーワードに感じる、「オフィシャル性」と「自分ごと感」
・”PLAY(遊ぶ)”+"CITY(街)"="PLAY CITY"というキーワードに感じる「非日常性」
が備わっていると考えています。

特に今回の参加者の中には、「仕事や学校だけじゃなくて何かしたいけど、何をしたらいいかわからない」というような方が多数いらしゃって、
そういう人たちに対して、「活性化のため、まちづくりをしよう!」「鹿児島市をPRしよう!」なんて唄っても、
何をしたらいいか分からない上に街のためになる活動というのは、参加ハードルが高くなってしまう。

その点、「鹿児島で遊ぼう!」というのは、なんか分かんないけど楽しそうだし、参加のハードルがグッと下がると思うのです。

また、一応市の取り組みであることから公的な安全性の担保されていて、
かつ自分の街ということから、自分との接点を見出し、自分ごと化をすることができる。

さらにさらに、これは街を普段どんなイメージで捉えているかによるけど、
普段は、出勤や買い物など生活の延長線上にある街で遊ぶという非日常性
普段から街で過ごしているが、あえて街で遊ぶと新たに認識することができるという点が参加者のワクワクの要素につながる、こういった一連の要素が詰まっているコンセプトのため、シンプルだけど深いな〜〜〜〜〜〜と思った次第です。

あと、何かと企画する時に「PLAY CITYしてるね」「PLAY CITYしてないよね」みたいな共通言語としても馴染みやすいのもいいなと思います。ハッシュタグとも相性良さそうですね。#PLAYCITYなう #PLAYCITYしてる   


②活動参加者の負担軽減

お金・時間・場所、その他フォローアップ体制が整っているという点で、参加者の負担軽減をされていると思いました。

お金:シティプロモーション事業なので4ヶ月間全体に向けて行われるプログラム受講料などの参加費は無料。(各テーマでの活動補助金の有無は聞きそびれました)

時間:プロジェクト進行における布石となる各プログラムの日程は決まっているものの、その他の活動時間はチーム及び個人に委ねられます。それぞれ自分の仕事や学校との兼ね合いで参加を決められるのではと思います。

場所:今回のプロジェクト期間、市内約13店舗程度のカフェを「プレイシティスポット」として設定し、このプロジェクトのメンバーであれば自由に使えることができたそうです。作業するにもカフェ代って結構かかるので。。有り難いですよね。

フォローアップ体制:チラシにあるような各プログラムに加えて、不定期でオープンオフィス(自由に相談できる)が開かれたり、動画制作ワークショップなんてのもあったらしいです。あとは、宮崎県・日南市の油津商店街の再生の立役者、木藤さんのトークセッションもあったりとしたとのこと。

とかとか、まだこぼしてる部分もあると思いますが、物理的活動参加ハードルも下げる工夫がなされていました。


③情報設計の工夫

これは鹿児島?地方?あるあるらしいのですが、何かしら新しいイベントなどに参加する際に「この人が参加するから行く」みたいな流れが全体としてあるようです。

ある方は「保守的な国民性だからね」と話していたのですが
(実際に、鹿児島のパスポート取得率は全国最下位)
と言った事実からも分かるように、外にあまりでたがらない…?
鹿児島や既存コミュニティの居心地の良さからか、新しいことにチャレンジすることに対して積極的ではない、らしいです。
(ここは私もあまり分かっていないので、そういう一面もあるんだ〜程度で)

なので、人の繋がりがとても求められます。
相手との関係性がある前提の元、参加というような感じでしょうか。

こういう背景があるため
今回の事業の情報設計も工夫されたそうです。
市のHPやチラシから情報発信するのはもちろん、加えて

まず、複数のコミュニティを持っていたりと影響力のある人をキーパーソンとして、参加者に巻き込む

そのキーパーソン周りにいる、「Aさんが参加するなら参加してみようかな」みたいな人たちを引っ張って来てもらう

これは、この事業の広報のみならず、イベント等でも言える事で、、
東京だとあまり感じないというか、ほぼないですよね。地方あるあるなのでしょうか。興味深いです。


以上、コンセプト/参加者の物理的ハードル軽減/情報設計の工夫が
約130人の参加者、且つ学生〜社会人という幅広い層を取り囲むことができた要因だと考えています。

(長くなりそうや)


企画〜実施〜報告会までの4ヶ月間の参加者の熱量の高さと全体の離脱率の低さ

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報告会を聴いていて思ったのですが、とにかく参加者の熱量が高い!
企画側よりも参加者の方が盛り上がっている状態が生まれていました。
勝手に自走していくので、企画側としても万々歳ですよね。

離脱率については、全体の1割ぐらいいたらしく。
また当日のプレゼンにも来ていない人がいましたが、この報告会で17チーム発表があるという状況すごいですよね。

なんでこんな状況を作り出す事ができたんでしょう
その要因を参加者視点で色々と考えてみました。

・募集の段階で、20〜30代を中心とした若い世代を巻き込む事ができた
・「PLAY CITY DAYS!」で新しい面白い人と出会えた、コミュニティとしての価値を感じる事ができた
・導入の段階での、宮崎県・日南市の油津商店街の再生の立役者、木藤さんらのトークセッションで、企画へのハードルが下がりつつも、この取り組みの意義を見いだす事ができた
・出しっぺ/乗っかる人、それぞれ自分のスタンスを選ぶ事ができた
・トップダウン式ではなく、何をするか自分たちで考える事ができる。成果だけではなく、企画〜実施過程でストーリーが生まれていた
・他者との協働・動画制作など、ちょっとしたハードルが設定されていることから、ただ遊ぶではない、ちょうどいい難易度設定だった
・企画から2ヶ月後の報告会というゴールの設定
・以前にあげた物理的活動ハードルの軽減

といったように色々な要素が絡まり、相乗効果を生み出していったと思うのですが、特筆したい点としては、
導入の段階で企画へのハードルが下がりつつも、この取り組みの意義を見いだせたきっかけとなったであろう、宮崎県・日南市の油津商店街の再生の立役者、木藤さんらのトークセッションですね。

9月28日、全体としては3度目の顔合わせで企画するぞ〜っ!というプログラム設計なのですが、この時に宮崎県・日南市の油津商店街の再生に携わった木藤さんという方が登壇されたのです。

この方の取り組みは別途調べていただきたいのですが、それらの活動も成功も全ては小さな企画の一歩から始まっているという旨のお話をされていたそうです。

これからまさに鹿児島市での小さな一歩を踏み出そうとしている参加者にとって、この話や木藤さんの姿がどう映ったのかというのは、想像に難くない事だと思います。街で何かしたいというこの小さな一歩が、やがて大きなうねりとなり街を変えるかもしれないー。

それでいて、はじめの一歩は何でもいい、小さくていいということを、きっと木藤さんは勿論、このプロジェクトの立役者であるTen-Lab(https://www.ten-lab.org/) の永山さん、くうがくん達もしきりに伝えていくことで、参加者にとって、安心して自分のしたいことを話す事ができる場所が醸成されていったのではと思います。


3.  地方にて、市民を巻き込み活動を広げていく際のポイント

ここまで色々と書いたので、改めてまとめる必要はないかと思いますが
あえていうのであれば、

・通常活動的ではない層へのアプローチが多く必要な為、より一層心理的参加のハードルを下げる工夫を行う
・情報設計は、キーパーソンを抑えて周りに伝播させていくイメージ
参加者が主体となりプロジェクトが自走していく為の余白を残す(放置はダメ、絶対)

最後のは、地方においてとか関係ないですね。
伝えたかったのは、「何かしたいけど何をすればいいか分からない」という心理状況であっても、場への心理的安全性が確保されて必要最低限のフォローがあれば、自走できるという事です。


今回は1回目という事で、今後活動を継続していく中で修正が必要な点もあるかと思いますが、この取り組みが継続される事で、今後大きなうねりをもって鹿児島市内外への情報発信に大きく貢献していく、それも楽しく、市民が自ら。

そんな可能性を大きく肌で感じた時間でした。
来年も、続いてほしいな、


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