【自分と向き合う編】もしかして、こんな感じで自殺してしまった人もいるのかもしれない その5
不思議な心持ちで喫茶店を出たあと、
適当な場所でタクシーを拾い、ホテルに向かった。
ホテルにチェックインをして、荷物を置き、
わたしはすぐにホテル内のエステサロンの予約に行った。
世でいうエステはいわゆる美容系のことをさすのかもしれないが、
1~2日で美容効果を実感できるわけではない。
というか、そんな長いこと行けるだけの資産はない(笑)。
ただ、誰かの手でトリートメントしてもらうということは、
一時のこととはいえ、気持ちを安らかにする。
たぶん、人間は他者の手によってメンテナンスされると、
気持ちにゆとりができる、つまり癒されるのだと思う。
チェックイン後すぐにエステの予約に行ったのには訳があった。
わたしは、それなりに呑む。
エステや揉み解しは、飲酒後はお断りされてしまう。
それが理由だった。
最近では大分呑む機会は減ったが、お酒は好きだ。
特にお店での一人酒が大好きだ。
大人数や差し呑みも好きだが。
一人酒には勝らないのかもしれない。
新人時代を東北で過ごしたわたしは、そこでお酒の味を覚えてしまった。
あの冬の寒く、雪が音を吸い込んでしまった、シンとした世界では、
きっとお酒を飲まないとやってられないのだと思う。
石垣島でも、もちろん一人酒をしに来たみたいなもので。
そんなことをもし母にでも言おうものなら、勘当ものだなと思いながらも、
死ななくてよかったなぁなどと思っているわたしは、
いわずもがな、祝杯を挙げる気満々だった。
背中と肩の揉み解しを依頼したところ、すぐに案内できるとのことで。
いそいそと部屋に戻り、
身支度を整え、
わたしは、エキゾチックな雰囲気の漂う空間へ足を踏み入れたのだった。
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