【今日読んだ本】東京藝大 仏さま研究室 (樹原アンミツ著)
読書記録として。
ストーリー
秘境・東京藝大抱腹絶倒ゼミ生活!
2浪、3浪は当たり前、時には10浪以上の学生も……パンダと桜で賑わう上野公園に隣接する東京藝術大学。通っている学生も教授も少し変わった人ばかり。そんな東京藝大で、仏像の保存について研究する通称「仏さま研究室」の修了課題は、なかなか過酷で学生泣かせだ。
様々な思いを抱え、真心を込めながらも、「模刻」に悪戦苦闘する学生たちを描く、クスっと笑えてグっとくる青春ストーリー。
(Amazonのサイト内本の概要より)
書き出し
その部屋は冬の早朝でも暖房を入れないので、若者たちは真っ白な息を吐きながら、かじかむ指で仏像を掘っている、とか、いないとか。
どうやって撮ったのか国宝級の仏像の姿を四方からとらえた投影図が、壁のいたるところに貼られており、ときにそれらを凝視して涙する若者がいる、とか、いないとか。
感想
私自身のことを言うと、母が亡くなった直後の夏至に、もともと予定されていた奈良・京都・滋賀旅行に行きまして。
私は全国の神社巡りをしているのですが、今回はそのような事情で神社に入れない。
一応書きますと、一般的に二親等までの不幸の場合、50日間は喪中となり、神様を穢れさせないために神社には行かない方が良いとされるのです。
ただし、お寺は供養のために行ってよし!
よって今回の旅行では、神社は全て取りやめて、代わりにお寺をじっくり巡りました。
しかもそれは奈良。
この国でお寺巡りにこれ以上ふさわしい場所はない。
そんな巡り合わせ。
そして、奈良の仏像(国宝がゴロゴロ)を見て周り、色々調べて、すっかりハマってしまいまして。
特に興福寺の国宝館。
居並ぶ仏像を見て震えました。
ねえねえ、この仏像さんたち、掃除とかどうしているの?
私なら怖くて近づくこともできない。
ましては修復する人ってどんな感じ?
と考えている時にこの本に出会ったのです。
前置き長い(笑)
そして、ストーリーもさることながら、仏像情報が満載なのであります。
例えば24ページ
うむ。
木製だから「修復が必須」。
だけど檀家さんが減ったお寺では修繕費もままならぬ、などなど。
うわー、寄付したい!
仏像を守りたい!
と思ってしまうわけで。
心に留めておきます。
それと仏像が木造なのは、日本独自の文化のようで。
え?
他の国は何?と思ったら鋳物であるようで。
太い幹の中から「仏を掘り出すのだ」と言っていたのは誰だったか。
勝手に仏師は木から仏像を掘り出す人のイメージがついていた(笑)
一本の木から彫るってよく考えたらとんでもないことしているよね。
寄せ木作りとか貼り合わせる方法もあるようですが。
ちなみに仏像が後々乾燥してひび割れないように、はじめから背中部分を大きくくり抜く作り方な考えだされたそうで。
これが、胎内が空洞という日本の仏像の特徴が生まれたとあり。
仏像の中が空洞なのは,内側は無限である!宇宙であるみたいなことを表現しているのだと勝手に思っていました(いや、そうなのかもしれないけど)
もう、読めば読むほど目から鱗だらけ。
日本の仏像。
もっと知りたい欲が!
他にも、
「金剛力士像の天衣や腰巻きは取り外し可能」
とか、
「悟った如来像は簡素だが、菩薩像は装身具のバリエーションが多いとか、観音様の区別として、お顔が多いのが十一面観音、腕がたくさん出ていれば千手観音、宝珠と法輪があれば如意輪観音である」
などなど。
そんな情報も嬉しいけど、でも物語がいい。
仏様研究室の四人が主人公のオムニバスなんだけど、みんな、いい。
藝大の「仏様研究室」に所属する四人が、それぞれを羨ましく思い、時に自分の才能の無さに悲しみ、だけど相手から見たらそれは違っていて、という展開。
順風満帆に見えたってそれは本人にしかわからない苦しみがある。
そしてどんな悩みも、自分と向き合い努力することでしか前に進めない。
こんな青春。
なんて清々しい。
そして、仏像が好きな人達!
同年代の中では,一風変わっていると言われるだろう人たち。
私もよく変わっていると言われたので、こんな場所にいたかったと思う。
アイドルとかファッションとか恋バナとか。
じつは苦手分野なのです。
そんな会話が繰り広げられるクラスメートたちの中で、うんうんと頷きながら、笑顔を張り付けてやり過ごしていた青春と呼ばれる日々。
私の好きなものは全然違うの。
といえなかった日々。
高校生だけど神社仏閣とか歴史が好きなのとは言えず(苦笑)
まあいいや。
これからは仏像好き!
お城や古墳や古代遺跡が好き!と、もっと言いまくろう。
なんの決意なんだが。
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